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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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VOC@(nd)roid 第十四話 / 理由検索・前編



何事にも理由は絶対あるさ……

ね、だからさ――色々とあるんだって!












 
 
 黒田刑事はオレの理性を一体なんだと思ってるんだ……青年の心を舐めるなよ……てか、何さ、この人、オタクなのは兎も角、年上で、眼鏡が似合ってるし……駄目だ! 駄目だ! オレはミクへの気持ちを裏切れないッ! だからと言って……ッ!
 そんなもんもんと考えているオレを放っておいて、そのまま家に辿り着いてしまった。やけに辿り着くのが早く感じた。まぁ黒田刑事が途中までパトカーで送ってくれたからな、見ていた近所の人は何事かと思っただろうなァ。
 アパートの階段を上がって、部屋の鍵を開けると、一同を通す。――散らかってますけど、上がってください。
「あ、キレー。男の子でオタクなのに部屋凄く綺麗にしてるんだねー」
 そりゃまぁ、ホコリなんてやだし、ゴキブリも出るしな。
 そう言うと、えっ!? と言って、桐島さんが後ろに仰け反る。大丈夫ですよ、殺虫剤ならありますし、ゴキブリホイホイも置いてありますし。まぁ、偶にそんな防御壁を乗り越えて出て来ますけど……
「そうなったら……お願いします」
「いえいえ……あ、座布団どうぞ」
 ……間が空かない様にしないとな。それと、この人には色々と訊きたい事があるから、その辺は後で聞こう。ミク、お茶。
「はい、マスター・ミオ」
 お茶ぐらいは淹れられる様になったんだよなぁ、ミクも。料理だけはどうあっても作れないんだよなぁ、リンもそうだけど。そういや、レンの方は何か出来んのかね……まぁその辺りも、後で訊いて見よう。
 淹れ終えた茶をテーブルに置いて、オレも座布団の上に座る。さて、此処からは色々と訊かなきゃ行けない時だな。後の事はそれからでも全く問題ないだろうし、正直、気になったまま料理なんて作れるか!
 さぁて、先ずは何を訊くか……いや、最初から決まっている、レンをどうやって手に入れたかだな。
「……えーと……桐島さんは、どうやってレンを……?」
 ちらりと視線を一回レンの方にやると、レンは礼儀正しく正座をして、此方側に視線を向けている。……畜生、リンと同じつくりだから……なんか、相手は少年なのにムラムラして来たぞ……アブねー。他の場所に視線を向けると、ミクはお茶を啜り、リンは偶にレンの方に視線を向けては、下を向いたりしている。――そういや、リンのヤツ、レンを探していた割にはあんまり喋らないなー。
 そんな些細な考えは兎も角、桐島さんは少しうーんと言った後に、言葉を発した。
「この前の話なんだけどね……あんな家から出てってやるっ! と思って家を出てからアテも無く、新幹線と電車を乗り継いで着いたこの街の公園で、どうしようかなー、と思ってたら、突然上からレンが降って来たの」
「わ、私達と同じです……」
 桐島さんの言葉に、ミクが口に手を当ててそう言う。それに対して、やっぱり! と桐島さんは指を挿した。成る程ね、未来から来る物体Aさんは、皆空から降って来るんですね、解ります。異世界から来る少年も、美少女も、何でもかんでも空から降って来るってワケですか。
 ……じゃあ、レンは桐島さんをマスターにしているってワケか? その問いに対して、レンは肯く。
「はい。僕はマスター・ヒトミのアンドロイドとして、仕えています。おにーちゃん」
 あのさ、本当に不意打ちは止めて……オレの理性が……只でさえ、ミクのマスター呼びにも漸く慣れて来て、それからリンのおにーちゃん呼びにも頑張って慣れて……なのにこれ以上爆弾を投下せんでくれ。
「? どうしました? マスター?」
「おにーちゃん? 具合悪いの?」
「おにーちゃん?」
 ――OK、落ち着け、オレ。今は此処で動揺する場所じゃないぞ、コノヤロー。敵の思う壺だ、コノヤロー。
「……と、兎に角っ、桐島さんはそんな経緯でレンと出会ったと……」
「うん。――で? えーと……遠藤、くん、だっけ? 遠藤君はどうしてミクちゃんとリンちゃんを仕えているのか教えてくれる? わたしも教えたんだから」
 まぁそうなりますよね。――兎に角、滅茶苦茶長くなるんで、良いですか?
 
 ――と、オレは三十分ぐらいの話を桐島さんに話した。一週間ほど前の突然の出来事。マジで死ぬかと思った殺し合い……てかさぁ、このオルトソード危ない、危険、刃物、死ぬ、銃刀法っ! で、漸く警察から返してもらったと思ったら、公園でリンが落ちて来た、と云う所までを話した。それから先の事は大体察しの通りです。
 それにしても、リンとレンは結局同じ時間に落ちたんだなぁ……どうして場所だけ違ったんだろう?
「……わたしは噴水の前のベンチでレンと出会ったけど……派手に噴水に飛び込んだから何事かと思ったわ!」
 それを言うと、レンが顔を赤らめて、縮こまる。
 ん? 待てよ、噴水の前のベンチって事は……
「オレ達が座って居たベンチの真後ろだ――」
 成る程、謎が解けたぞ。
 結局、リンとレンは同じ場所に落ちたんだ。只、二人だったから一つ木々を挟んで、噴水と、オレの上に落ちて来た……はー、スッキリした。でもまぁ、この場合は二人とも同じ方に落ちた方が良かった様な気がするなぁ。
「えーっ! それじゃあおにーちゃん、私と一緒に暮らしたく無かったって事だよねーっ!」
「いや、そう云う訳じゃないけどさ……」
 ぽかぽか、と擬音を立ててオレを叩くリン。殺される、萌え殺される。こんなシチュエーション、二次元だけかと思ってたけど、三次元でもあるんだなぁ……
 さて、色々と話が終わった所で、兎に角、次に話し合う事があるんですけどね。
「え?」
 首を傾げて、解らないと言う桐島さん。言い難いんですけどね……オレ達、男と女なんで、色々と考える事があるんです。オレにも理性はありますけど、この状況下で保ってられるか解りませんので……
「はぁ……」
「で、兎に角、寝る算段を立てましょう。この大きな部屋の部分は、桐島さんと、ミクとリンが寝てください。オレ達二人は、この、出口へ繋がる廊下で寝るんで……」
 まぁ、それでも隣にレンが居ると云う状況は変わらないんだけどな。オレの理性が、男の子に手を出さないと云う事を保っていられれば、オレは一線を外さずに済む。そもそも、BLはオレの趣味じゃないんだけどな……このレンは、リンと同型機って事で、女顔ってワケじゃないけど、ショタ! そうショタ顔なんだよッ! 制限がつくぞ!
 そんなワケで良いでしょうかね? 取り敢えず、この出口へ向かう為の廊下には、扉が着いていまして、扉を閉めれば解らない訳ですよ。遮断も出来ますしね。
「まぁ、わたしは余り気にしないけど」
「いや、お願いします、気にしてください。桐島さんは女の人なんですから……」
 ミクの時もそうだったけど、こればっかりは譲れない。――まぁ、最初の頃、ミクを人形だと思って抱き締めてたオレだけどね。ああ、正直に言うよ、軟らかかったさ! 気持ち良かったさっ! どうだ、満足かよ、オレはどうせ変態だよ……
 で、それで良いですよね? てかそれ以外に良い方法が思いつかないので、何卒、よろしくお願いします。土下座。
「……解った。いっか、今日はミクちゃんとリンちゃんにサンドされて寝るんだもん!」
 ――ミク、リン、無事でな。
 あ、そういえば訊くの忘れてたけど……桐島さんはどうやってオルトソードを手に入れたんですか?
「え? ああ、この剣の事ね」
 びゅん! と音を立てて、桐島さんの手の上に、剣が乗っかる。オレのとはデザインがすげー違う剣だ。……ミクとリンの製造番号が一緒で、全く違う世界から来ているのかと色々と仮説立ててたけど、このオルトソードだけは変わらないのか……
「この剣わねー、レン君がくれたのー」
 ――は? オレは視線をレンに向ける。
「マスターに渡す様にインプットされていますので……」
 って事は、オレがオルトソードを持っているのって……ミクがくれたから?
 そう考えるオレに、ミクが首を振る。
「私、知りません! オルトソードの存在は知っていましたけど、そんな渡すなんて事はインプットされていませんし、渡されていませんでした!」
「私もー」
 ミクとリンは知らないと言う。つまり、レンにだけ、オルトソードを渡す様にインプットされてたワケか。それで、マスターになった桐島さんに、渡されていたオルトソードを渡した、と。元々実体の無い粒子状(ミクの説明より)のモノだから、案外簡単に持ち運べるもんな。
 さてじゃあ、色々と解ったところで、メシにすっか。っつっても、そんなに対した物は無いけど――冷蔵庫を見ると、中には二人分の食料しか存在していない。そして、時間は七時半、そろっと早い店は閉まるよなァ。
「……ちょっと買い物に出掛けて来ます。留守番をよろしくお願いします。……あ、くれぐれも外には出ない様にしてください。
 ――リン、お前も来い」
 オレの言葉に了解、と答える桐島さん。片や、オレに言われてきょとんとするリン。リン、お前にも色々と言わなきゃいけない事と、訊かなきゃいけない事があるからな、この買い物の途中で聞かせて貰うぜ。
 ミク、後を頼んだ。
「はい、マスター」
 その言葉を背中に受けつつ、オレはリンと共に家の扉を出た。……望みどーり、ミクが後から鍵を掛けたんだろうな、がっちゃん、って云う音を立てた。
 ちょっと急ぐか。時間も遅いしな。
「うん」
 オレの横にちょこちょこ着いて来るリンを眺めつつ、オレは言葉を探す。さて、何から話すか……此処で話す事柄を間違えると、後に続かないからな、先ずはソフトな話しから始めるのが普通だな、うん、これ常識だろ。
「……レンと会って、嬉しくないのか?」
「え?」
 そりゃ驚くよな、突然こんな話を始められたんだからな。
「嬉しいよ」
 その後、ちゃんと意図を理解してくれたのか、答えを口から出した。
「にしては、オレにはお前が喜んでいる様に見えないんだけどなぁ」
「……」
「――どうしたんだよ」
 頭を撫でる。髪質は本当にアンドロイドか、コレ、って程。本物の髪の毛みたいだ。その向こう側に存在しているリンの表所は、下を向いて、そのまま泣いてしまいそうな状況だった。……この瞬間に泣いたら、オレ、拙い、状況的に拙い。
 ふと、歩いている脚を、リンが止めた。それに釣られて、オレも脚を止めた。閑静な住宅地のど真ん中で、オレ達二人は脚を止めた。
「……だって、レンにはマスターが居て、一緒に……暮らせないんだもん」
 ――成る程ね、そう言う事か。
「なら如何する? 桐島さんからレンを取り戻すか? いや、無理だなぁ、あの人多分溺愛しゃだよ。クーリン、萌えー、とか言ってるかも知れないし、リンレン萌えーとか言ってるかも知れないだろ? 無理だな無理」
 うん、断定だ。こりゃ多分間違いなしだな。
 で、リンの願いを叶えるには、もう一つ、選択欄がある。こりゃ、リンが初めてオレの家に来た時の、オレの誓いを破っちまう様だけど……
「……なら、お前が桐島さんの所に……行くか?」
 それしか、無いだろ。
 
 
                    to be continued......

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