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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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VOC@(nd)roid 第十六話 / 潜入脱出




潜入するのと脱出するの。


どっちもむずかしーんだよっ!










 
 
 家の中を見渡してみると、結構散らかってやがる。これを片付けるのは誰だと思っているんだコノヤロー。ぜってー、片付けさせてやるかなぁ、あのリムジン。待ってろよー、リムジン。
 でも散らかってるっつー事は、それだけ抵抗したって事だよな……つまり、お構いなく、相手をぶっ飛ばしても良い訳だよな?
 こちとら、オルトソードが存在しているんだぞこんにゃろーっ。ま、その前に先ずは場所を探さなきゃ何だけど……ま、その辺は良く解ってる人間が居るだろうしな。恐らく、これをして行ったのがリムジンって事は金持ちだし、金持ちって言うと……桐島さんだよなぁ……
 そんな事を考えているオレを余所に、リンはもう既に泣きそうな顔だ。やっぱりレンが心配なんだな……頭を撫でる。
「大丈夫だ。オレが何とかする……」
「……本当に? おにーちゃん、何とか出来るの?」
 なんてったって、未来の剣があるからな。これなら……
 ――と、思い手の平に、何時もと同じ様にオルトソードを取り出す仕草をしてみる……あ、アレ? 出て来ない……
 おかしいな、どうなってんだ?
 腕を色々と振って見ても、ポーズを決めて見ても、全くオルトソードが出て来る気配が無い。……アルェー? おかしなぁ……
 ちくしょー、取り扱い説明書ぐらい添付しとけコノヤローっ! どうすんだよ! 丸腰で乗り込むのかコンチクショーッ! 相手は今度は政治家よりも性質が悪い資産家だぞッ! しかもヤクザまで居るんだぞ、コンニャローッ!
 ――参ったなぁ。でも此処で黙って指をくわえている訳にもいかねーし、それにリンにカッコイイ事言っちゃったしなぁ。男として、約束は守りたい病が発症しているんだが……
 様子を見ようと思い、視線をリンの方に向けると、リンは涙を拭いて、オレのズボンを引っ張っている。一応、頑張ってくれのサインなのか? 涙は出さない、だって、女の子だもんっ! 見たいな感覚ですか? 益々約束を撤回出来なくなったぜ……
 と、兎に角っ、先ずは黒田刑事に連絡だ! 絶対に知っている筈なんだ! 相手の事を! オルトソードは無いけど、まぁ何とかなるだろーっ! だってそもそも、先週の政治家の件も、大体自棄を起こして行った結果、オルトソードを手に入れた訳だし!
 そんな、ポジティブな考えを持つ事にしたオレは、ポケットの中に入っている携帯電話を取り出して、黒田刑事の電話番号を呼ぶ。……頼むから出て下さいよぉー……
 そんなオレの願いを聞き遂げたのか、電話がブツリと音を立てて、通話に変わった。
『もしもし……』
 すんげー小声で黒田刑事が言葉を投げ掛けて来た。黒田刑事、大変ですって!
『ンなこた解ってんだよ。……桐島家が強行に出た事ぐらいこっちだって知ってるよ』
「なら早く行かないと! ミクも連れて行かれちゃったんですよッ!」
『……そうなんだけどなぁ。お前、警察がどんな仕組みか知ってるか?』
 知ってますよ。
『なら話は早い。警察は組織で、しかもピラミッド型っつー、面倒なヤツなんだよ』
 ……詰まる話、上からの命令で動けない――って事ですか?
『そーゆー事だ。俺だって、動きたい事は動きたいんだよ。こんなやり方で娘を言いなりにするのは俺も我慢出来ないからな。
 でもな、今回は骨なんだよ。なんてったって、警視庁警視総監の命令だからな。これを無視すると、相当拙い事になる』
 えーと……クビ、ですかね……?
『ご名答。だからこうやって小さな声で電話してんだ』
「ならどうすりゃ良いんですか?」
 暫らく返答が無かったが、直ぐに言葉が返って来た。
『……お前がやるしかないだろーが。あのオル――なんちゃらソードがあるだろーが』
「――それなんですけどねー。なんか、良く解らないんですけど……出せない見たいです」
 その言葉に、小さな、乾いた声でハァ!? と返って来た。そりゃそーだ、オレの唯一のステータスの様なもんが出せないって言えば大体そんな反応が返って来るって、大体解っていたさ。
 そんな役立たずになってしまったオレに関して、暫らく参ったなー、の一点張りを続けていた黒田刑事だったけど、何か思い付いたみたいで、声を再び潜めて言葉を返して来た。
『兎に角、これから言う場所に恐らくミクちゃん達は居ると思う。……あんま無茶すんなよ? なんとかソードがまた出せる様になっても、直ぐには突入するな? 情報操作大変なんだぞ……』
 ――了解です。で、そのとある場所って言うのは何処ですか?
 
 
          ×          ×
 
 
 ――ぅ、あ?
 此処は……何処でしょうか……? 確か私は、人見さんと一緒にお留守番をしていて……それで突然人見さんが叫んで……――
 そうです、変な人にさらわれてしまったんです! 何か、先週みたいな感覚ですね。でも、此処は先週みたいに、変な工場じゃなくて、立派な場所です……
 ――マスターっ!? 人見さん!? レン君!? リンちゃん!? ……辺りを見渡しても、皆さんの姿はありません。此処はやっぱり知らない所ですし、それに……やっぱり私、まだ狙われているのでしょうか……
 でも体は拘束されている訳でもないです。眠っていたみたいの目を擦って、そのまま立ち上がります。ぼやけた目をもう一回擦って、意識を覚醒させる。
 この立派な部屋の構造は、私が眠らされていた場所にはベッドで、そこから辺りを見ると、たくさんの装飾品が付けられたテーブルとか、椅子とか……他にも上の電灯はシャンデリアです。少し歩くと、向こう側には大きな扉が二つあります。
 私は扉の目の前まで来て、少し、扉を開くと、静かに、扉が本当に小さく開く。そこから覗いてみると……
「わ……っ」
 そこには、おっきな体をした男の人が、サングラスを掛けて二人立っています。やっぱり、私は捕まっているみたいです。此処からは出られないみたいです。
 次に私はその隣にある扉を少し開いて見てみると……あ、此処には男の人は居ません。でもこの部屋は……
「……レン君……!」
 その部屋の向こう側には、レン君が横になっていました。私みたいにベッドで寝かされていないで、ソファーの上に無造作に寝かされていました。
 部屋は繋がっているみたいですね。で、さっきの扉が出口のある廊下に繋がっている扉だと私は思います。
 兎に角、今はレン君を起こさないと……そして此処から出ないと何か、いけない様な気がします! 人見さんも、この部屋の近くに居るのでしょうか? でも、この部屋は私の居た部屋とだけ繋がっているみたいです。多分、あの扉を開けるとさっきと同じ様な人が居るんだと思います。
 レン君の所まで早足で来ると、ゆっくりと、体を揺すった。
「レン君、レン君」
 何度か呼びかけると、うっ、と声を上げて、ゆっくりとその瞼を開けました。あ、起きました。レン君、大丈夫ですか?
 閉じていた目を擦って、レン君は起き上がります。
「……おねーちゃん……」
「大丈夫ですか?」
「は、はい。何とか……
 それより、マスターは?」
 ――ううん、人見さんは此処には居ないみたいです。
「それよりレン君、此処、何処だかわかりますか?」
「多分、マスターの家かと……」
「えっ! 京都って事ですか!?」
「いえ……多分別荘かと……。僕が見た事ある部屋とは全く別物だから……」
 じゃあ、そんなに遠くまでは来ていないって事ですか?
「そうかと思います。でも車で連れて来られたので、歩くには相当な距離があると思います」
 あ、そういえば、車に乗せられました。それから暫らく乗せられた記憶もありますから、やっぱり、結構遠くに来ているみたいです。此処から出ても、家に戻れないと如何し様もありませんね……
 マスター、今頃如何しているでしょうか? ――でも、今はマスターも心配ですけど、この場所に居る筈の人見さんも心配です。
「多分、マスターは家の中に居ると思います。そこには、その、マスターのご両親も一緒に……居るかと……」
 ――此処は人見さんの家で、そして、家出した人見さんを追って、ご両親さんが来た――って事ですか?
 でも、人見さんは確かにあんな家はヤダ、って言っていました。そこに無理矢理連れて来られたと云う事でしょうか。
 そうとなるなら、あんまり良くないですね……レン君、早く人見さんを連れて出て行きましょう。確かに、人見さんとご両親さんはこのままではいけませんし、互いに自らの気持ちを伝えないと行けませんけど、こんな状況の中でそれは無理です! はい!
 その言葉にレン君も確かに、と反応してくれました。じゃあ、この場所から出る方法を、二人で探しましょう。
「そうですね、おねーちゃん」
 と、なりますと……どうしましょう? 外には男の人が居ますし……他に出口はありますか?
 私とレン君は辺りを見渡して見ますけど、全然見つける事が出来ません。あるのは、廊下に繋がる扉と、私の部屋と繋がっている扉だけです。他のモノは全くありません。
「変装――は、無理ですよね」
 確かに。レン君の意見は確かにちょっと無理な話です。この部屋の中に居るのは私達二人な訳ですから、他の人達が出て来た所で如何し様も無いと言いますか……直ぐに見付かってしまいます。
 ……と、そこで考えていると、部屋の扉が徐に開く。――?
 そこには、人の良さそうなお婆さんが何か大きな台を引いて来ました。台の中にはシーツとか、そんな物が入っています。
「あら、起きたかね」
 えーと……
「そんな警戒せんでもええよ。ウチの娘がすまない事をしたねぇ……」
 ……娘? 人見さんですか?
「違うよ。ウチはその人見の母親の母親だよ」
 ――えっ、なんでそんな人がこんな仕事をしているんですか? この家の事を知っていると思うレン君の方を向くと、解らない、と言った様に首を振る。
 お婆さんはそのままこの部屋のベッドシーツを回収して、台に入れている。
「ウチが好きでやってる事だよ。何かしら体を動かしてた方がボケないからね」
 はぁ。失礼ですけど、お婆さん幾つですか?
「九十二」
「わっ」
「まぁもうそろっとあの世から夫が迎えに来る様な気がしてならないんだけどねぇ――今の惨状を放っておくなんて、死んでも死に切れんよ」
 今の惨状、と言いますと、人見さんの家出とか、家が嫌いだとか云う事柄の話ですか?
「……それもあるけどね……ウチは、もうそろそろ、人見の自由にしてやっても良い様な気がするんだよ……」
 そう言って、悲しい顔をしながら、由香に落ちているゴミも丁寧に拾って行く……
 あ、そうだ、レン君。
「どうしました、おねーちゃん?」
「……この部屋から出られるかもしれません」
 
 

                    to be continued......

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