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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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IF DREAMS CAME TRUE // girl ' s butler 30





これはハヤテが歩んだもう一つの『IF』の物語――の、執事編。











 
 
「――勝者、桂ヒナギク! そして綾崎ハヤテ!」
 おお、と完成が上がった。今まで知る事のなかった、現生徒会長桂ヒナギクの専属執事――それが今始めて全校の前に姿を見せているのである。皆が注目して当然のカードであったのだが、予想通りの展開になった。
 先ず見るべきは、その綾崎ハヤテの体力の多さである。凄まじい体力である。底無しの体力で相手を翻弄し、決める時は一気に決める。持久戦を前提として戦っていたのか、それとも相手が手強かった為に中々決められなかったのか、解らない。だが勝利と云う只一つの結果が今この場を支配している。
 次に注目するべき点は、執事と主のコンビネーションである。これまで多くの執事と主がこの場で戦って来たが、どれも、主が戦って執事に勝てた試しは無い。基本は主が後ろで逃げ、そして執事同士が戦うと云うものなのであるが――この二人は違った。
 桂ヒナギク自身、相当の実力者なのである。執事と同等の力を持ち、加えて、主同士の一騎打ちであれば、敵は無いであろう。互いに状況が変化した時は、臨機応変に戦い方を変え、最後はコンビネーションで相手の主をフィールド外へと叩き出した。
 今、控え室のモニターでその戦い方を見ていた一回戦突破者達は、その実力こそは脅威に感じてはいないものの、そのコンビネーションには、眉を潜めていた。軽快すべきだと考えているのである。
 ――そもそも、主が戦えると云う事は、それ自身が相当のアドバンテージだ。
 本来戦えない、殴れない主は、守る事しか出来なかった。しかも脆弱な守りであり、役に立つとは思えない。実際、数多くの腕利きの執事達が脱落して行くのも、主を狙われた結果である。逃げの上手い主と、逃げが苦手な主――前者が勝ち残っているのは事実である。
 それが今度は戦えると云うのである。執事と同等の実力を誇っていると云うのである。……つまり、それは相手に対して殴る事も出来れば、逃げる事も出来る。有利であれば二人で戦う事が出来、不利になれば主は逃げ、体制を立て直す事も可能なのである。
 軽快すべきは矢張り、現生徒会長と云う訳である。伊達や酔狂でこの名門学院の生徒会長をしている訳ではなさそうである。文武両道、全てが揃っている。
 全ての人間がその正体の不明な綾崎ハヤテに対してマークをしている中で、野々原楓、そして冴木氷室の二名に関しては、ハヤテよりもあの桂ヒナギクに関してのマークをしていた。
 そう、彼らはハヤテの能力を知っている。一度拳を、竹刀を交えた中で、二人は解っているのである。その点で考えれば、彼らは周りの人間よりも有利に立っている。
 さて、それ以外の、主に綾崎ハヤテをマークしている人間は恐らく、勝利する事はないであろう。――ハヤテ自身、実際は体力以上に持っているモノなど少ない。執事ではない、只の少年である。多少腕に自身がある様であるがそれでも三流である。この学院に通う一流の執事達に正面から戦って勝てる可能性は低い。
 コンビネーションを如何に断絶するかが、あのペアとの戦いの鍵になる。執事レベルの戦闘では、桂ヒナギクの方が戦闘能力は高い。
 さぁ、これ以上の詮索は要らない。もう既に、〝一流達〟は彼に対しての対策を取れているのだから……次は、別の人間の戦いを見極めるだけである。過ぎ去った事に関して、他にも解り切っている事に関して必要以上の深追いは身を滅ぼすだけで何も齎さない。
 
 
 戦いが終わり、一つ溜息を吐いて控え室を出る。控え室も多くの執事達で溢れ返っており余り良い環境とは言えない為に二人で出て来たのである。
 自動販売機にコインを投下し、そのままボタンを押すと取り出し口に一つのジュース缶が落ちて来る。取り出すと、乾いた音を立ててプルトップを開けると炭酸が抜ける音がする。そこに口を着けて中の飲料を飲む。
 もう一度ひと息吐いて、ベンチに腰を掛けると、硝子窓の向こう側では、既に次の戦いが始まっていた。執事と主、両方が戦っている人間矢張り少ないのであろう。硝子窓の向こう側の人間達は、執事のみが戦い、主は後ろで逃げ惑っているだけである。
「そう考えると、やっぱり私達って異色なんでしょうね」
「そうですね。今までたくさんの執事の戦いを見ましたけど、主の人が戦っている姿は見ませんね……」
 缶ジュースに口を着けながら窓硝子の向こう側を眺める。戦いは早くも終了した様である。主がフィールドアウトしており、片方の執事の方にレフェリーの手が上がっている。
「午前中の部門はそろそろ終わりですか?」
 空になった缶を捨てて問い掛けると、そうね、とヒナギクがプログラムを開いて応える。この後、昼食を摂ってから、午後の部がある。午後の部では、ベスト8が決まり、翌日の決勝戦となるらしい……。本来は一日で全てのプログラムが終わる筈だったのであるが、先程、プログラムの変更がアナウンスで告げられた。
 臨時理事長とは言え、その権限は相当なものである。悪戯に学業の質を下げている様なモノであるとはヒナギク談である。だが実際、白皇学院は元々休みが多い学院である事は周知の事である。何を今更、と云うのが周りの生徒、教師の見解である。
 今回のこの戦いで、再び生徒会長の椅子を取り戻したあかつきには、根本の部分を本物の理事長に問い質す必要がある――尤も、彼女がそれに応じるかどうかは……不明である。
 明日も授業は無く、再びこの様な事をしなければならないと云う訳である。文句を言おうにも、今現在生徒会長の権限は全く持っていない為に如何し様もないのである。権限を取り戻すには、述べた様に、この執事VS執事で優勝するしか方法は無いのである。
 そして、ハヤテはヒナギクに優勝させると、誓ったのである。
「兎に角、今の内に昼食食べておきましょう。勝ち上がったら、後三回は戦うんだから!」
「三回ですか? 白皇学院で執事を持っている人って、少ないんですか?」
 問いに対してヒナギクは首を振って、指を向こう側に指す。その方角に視線を移すと、多くの人間達がエントリーをする受付の所で行列が出来ていた。
「僕棄権します!」
「僕も!」「私も!」「オレも」「ウチも!」「ワイも」「僕も」「僕達も」
 ……多くの人間が棄権の手続きをしていたのである。理由は良く解った。
「それにしても、何処に坂東●二が居ますかって感じですね……」
「――? なにソレ」
「いえいえ……」
 後から解った話であるが、これで約半数が棄権をしたとの話を聞いた。多くの人間が野望を持ってこの大会に参加したが、結局戦い抜く自身と、若しくは勝ち上がっても体力切れを理由に棄権する、主に主が目立つそうだ。
 恐らく、この学院の行事の多くはその様な事柄が起こるのであろう。資産家の御曹司が通う様な学院で良くある事である。ハヤテは苦笑しながらそのエントリーを取り消している風景を眺めていた。
「早く行きましょ」
「そうですね」
 
 
「で、結局勝ち上がれたワケ?」
「まぁ、一応……」
 白皇学院の庭の一角――剣道部の部室の近くに存在しているベンチで、ハヤテ、ヒナギク、康太郎、楓の四人は座って昼食を摂っていた。
 兎に角、一応、この東宮康太郎と云う人物が一回戦を突破出来た事に些事を送るしか無い。確実に、所詮で落ちると思っていたのである。何度も言う様だが、この執事VS執事は、主参加型の代物なのである。主至上最弱と言われている康太郎が突破出来たのはある意味奇跡と言えよう。
「ひ、酷い言われようだな……」
 事実である。実際、誰もが勝ち上がれるとは思っても居なかったのは事実なのである。
「まぁ、一応動きは前よりは良かったわよ? 観客席から見ての話だけど」
「その点は、私がちゃんと鍛えましたので……」
 防御に関する知識を、即急に教えたのであろう。頭と体に叩き込ませ、反射的に、攻撃を避ける、受けるだけは出来る様にした事が吉と出た。攻撃を受けている間に楓が次の攻撃をする準備を整えられたのだから、それなりの活躍と言えよう。
 そもそも、今の今まで、これだけ鍛えられていたのである。基礎だけは完璧なのであろう。基礎が出来ている人間は―――――伸びる。
 その結果が今出ているのである。防御面だけの話であるが。それが攻撃面に出るのは、何時の話になるのかは不明である。もし、それが攻撃面にも伸ばす事が出来れば、この少年は何処までも伸びるであろう。
 それはさて置き……
「其方の方も、突破されたそうで」
 話はそちら側に移る。
「まぁ、当然かな? 私とハヤテ君のコンビだもの!」
 自身ありげにそう言うヒナギクの目には、確かな自身が炎となり燃えていた。相当の自身である。打ち砕かれる事を知らない、前のみを見るその瞳には、楓も流石、と呟くほどである。――楓はハヤテではなく、ヒナギクをマークしているのである。
「ではその自身、私達が砕かせていただきましょうか。ねぇ、坊ちゃま」
「望むところよ!」
「……そんな事を言っていますけど――大丈夫ですか?」
「た、多分」
 ――戦いは、午後の部へと移行する。
 
 


                    </-to be continued-/>

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