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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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VOC@(nd)roid 第二十話 / 爆破部屋 + 覚醒青女




どっかーん。

実は今日で「人見編」終わる予定でしたけど続きます。

だってさぁ、書く事いっぱいでさー。


ね?






 
 頭が痛い……何があったのか解らないけど、わたしはどうやら眠っていたか、それも気絶させられたかした見たい……ってか、此処何処だろう……?
 ――記憶がハッキリしないなぁ……なんか、霧がかかったみたいに脳内のイメージが定まらない。所謂記憶が曖昧ってヤツ? ああ、こんな感じなんだな、記憶が曖昧な人とか、記憶喪失の人って。思い出せそうで思い出せないとか、こんな感じ。そーか……霧がかかったみたいって表現良く聞くけど、こんな感じね。
 兎に角、記憶は良いから現在の状況を確認しよう。
 今わたしは、触覚的には柔らかい何かに背中を預けているみたい。多分、ベッドかな、かなり柔らかくて、家出してから久しく感じていない、本当に柔らかいベッド。
 視覚的に考えてみると、ぼんやりとした視界の向こう側には天井が見える。当たり前だけどね、仰向けに眠っているんだから、解っているけど。四角の形をした天井の模様が幾つもある様な感覚。
 腕を動かしてみると、腕はちゃんと動いた。手の平をぐーぱーしてみて……うん、大丈夫、動く。
 その手で、目を擦って見ると、視界もはっきりして来た。そして、動かなかったわたしの体も……うん、大丈夫、動く……
 いてて……頭痛いなぁ……
 それより、ミクちゃん、リンちゃん、レン――大丈夫かなぁ? 遠藤君も、どうしたかなぁ? にしても外は騒がしいなぁ。銃撃戦でもしてるのかな? まさかね。
 苦笑交じりにわたしは重い体を漸く起こすと――
「目覚めたか、人見」
 ――そこには、父親の姿があった。
「――っな……ッ!」
 何で、そこに居るのか……わたしには理解出来なかった。部屋の奥の方には母親も存在している。
 ……って事は此処って――
「わたしの家――の別荘!?」
「ご名答だ、人見」
「なんで……わたし、遠藤君の家に居た筈なのにっ」
「――ああ、あの青年か」
 父親が指を鳴らすと、後ろの扉から強面のSP達がやって来て、巨大モニターを瞬時に設置して行く……どうでも良いし、前から言いたかったけど、貴方達本当に妙な所で手際良いわよね……
「有り難う御座います! お嬢様!」
 いや、褒めてないし……相変わらずSPは良いノリをしてる。
 って、そうじゃなくて! そのモニターは何なのよ!
 ぽちり、と音を立ててテレビのボタンを押すと、そのモニターの画面は四つに分かれていて、左上には、部屋の中に強行突入している遠藤君とリンちゃん。左下には同じく強行突入で走っているミクちゃんとレンが映っている。残りの二つの画面には、警察の人と、忙しなく動き回っているSPの姿が映し出されている。
「……彼らは、お前の友人か?」
 アンタに言う筋合いは無いけどね……それにどう云う事よ、わたしがどうして此処に居るのよ。
「何、お前を無理矢理彼の家から持って行っただけだ。その際、彼らにも多少、手荒な真似をしたがね。どうやら懲りていないらしい……」
 そう言うと、父親は手に手袋をはめて、立ち上がる。
 ――ちょっと、何をする気!?
「決まっている。お前を誑かす無粋な人間を、始末するだけだ。
 おい、SPナンバー02、例のモノを渡せ――」
「は――っ」
 始末って……また、人を見下す様な口を……ッ!
「……アンタって人は――ッ!
 人を見下して……努力なんてした事も無い癖に!」
 何処までも無言の父親を眺めてわたしは生きて来た。けど、解っていたんだ……この人は、人を見下して生きて来ている。金を持っているから今まで何でも出来たんだろうから知らないんだ……そんな人の気持ちを!
 努力をして、そして生きている人達は沢山居る。どうしても、どうにもならずに崩壊して行く家族だって居る。わたしは家出して、あんまり時間も経ってないけどそれを知った。
 人間関係に苦しむ人だって居る。わたしみたいに、OTKだけど、リアルが上手く行っていない人だって居る。
 この人は――この父親は、そんな人達を負け犬と言って見下して生きて来た……っ! それを知っている。わたしは幼い時から友人から隔離されて生かされて来た。全て、この人の手の上で生きて来た。
 確かに、欲しい物は全て与えられて来た。DVDが欲しければ買ってもらったし、フィギュアが欲しければ三つ買って貰えた……でもその代わり、自由はなかった。
 この家を継ぐとか何とか知らないけど……わたしはこんな人の元で生きたくない。人を見下して、人を蔑ろにする、平気で切り捨てる人間なんかの子供で居たくない!
 だからわたしは家出した。外の世界を知りたかったから……そんな世界に行きたかった。
 暴れるわたしを、父親は本当に、冷たい目で見ている。此の世の存在ではないかの様に……本当に、虫ケラでも見るかの様な目だ……
「……」
「そうやって、今まで見下して来たんでしょーがっ! ずっと……ずっと……弱い人間を!」
「――ああ、そうだ。勝ち上がる為に、この世界で生きる為に、多くの同志を犠牲にして来た。憎まれもしたさ……」
 やっぱり……この男は、人でなしだ。
「……アンタは存在しちゃいけない人間なんだ……ッ! そして、そこから産まれたわたしは……っ、わたしは…………ッ!」
 流石にその言葉には反応したのか、今まで黙って事を見ていた母親が手を出して泣きそうな言葉を発した。
「違うのよ……貴女のお父様は……」
「聞きたく……ないッ!」
 そうして、ブチ切れたわたしの脳細胞は……
 
 ――トリガー、オン。
 
 ……変わった。
 
     ■■■
 
 その場に妙な風が吹き荒れた。
 扉が開いたのだと思い、人見の父親は、窓の方を一瞥したのであるが、どうやらそうでは無いらしい。……では、どうしてこの風は起こっているのか……? 人工的に起こすにしては、冷暖房の風にしては、強過ぎる。
 この空間に居る人物は五人。
 中心に存在している人見の父親。その後ろに存在しているSP諸君と、人見の母親。……最後に、目の前のベッドの目の前で、鬼の形相で立っている――桐島人見。この五人である。
 唾を飲んだ。その自らの娘である人見の手に握られている物体に、見覚えがなかった。突然その手に、0と1が集り、プログラムが現実に此の世に具現化するのであればこの様な表現になるのであろう、と考えさせる。
 現れたのは、一振るいの、異形の剣である。最初は白色かと思ったが、徐々に、侵食していくかの様に黒く変貌し、同時に人見の目の色も、雷撃が奔ったかの様に、充血した赤い血管が黄色に変貌し、瞳の色も金に変貌した。
 髪は突然逆立ったかの様に一瞬なったが、直ぐに元の髪形へと戻った。
「――アンタを……」
 その黒い異形の剣を振り翳し――
「許さない――」
 刹那、一室で爆破音が響いた。
 

                    to be continued......

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