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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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Sister☆Wars! 『Prologue』




この前の設定資料をもとに、プロットなしの適当小説。

土曜日はこんなテンションで適当に、思いついた小説を不定期めちゃくちゃ更新。



ま、いいんじゃない?
ティータイムにでも。

 



 


 
 
 【Prologue】
 
 
 世の中には様々な人間が存在している。
 特定の趣味を持たず日々を過ごす人間。
 何かしらの野心を抱いている人間。
 将来の自分の為に勉学に励む人間。
 己の肉体の限界に挑む人間。
 非現実の世界に自身の存在を見出している人間。
 未来ではなく、今に全てを注ぐ人間。
 その様々な人間が混在した中に、存在が認められているのである。森羅万象、万物すべての存在を認識できる知的生命物体が居る事でこの世界は成り立っている、存在を認識されているのである。述べた人間達もその一部分である。勿論、述べられた人間以外の性格の人間も存在しているのも確かである。
 
                    †
 
「お兄様はどの様な夢をお持ちなのですか?」
 その場で腕を組んで、時折その自慢の髪をいじりながら、野上七海はそう兄に言った。
 夕暮れの生徒会室。人気も失せ、もう多くの生徒たちは部活に精を出し、部活の無い人間は他愛のない会話をしながら帰宅の途についている。もはやこの学校内の出来事に関心のある人間などほんの一部だけになっているのである。現に、今この校舎に残っている生徒は生徒会室に居る人間と、室内で部活をしている人間、あとは教師である。
 この生徒会室においても、活動は終了しているために二人しか存在していない。
 野上七海と、その兄、野上(とおる)の二名である。
 質問に対して渡は鼻で笑った、知れた事、知っているだろう? 語っているような顔をしていた。窓の向こう側にある夕陽の光を浴びている顔は優美で、とても男とは思えない容姿だ。髪質も柔らかく、女性のそれ。窓を開けて、風が入ってくれば、その髪は靡くだろう――
 そうでしたわね、と兄の横顔を見て、七海は呟いた。これ以上彼に質問する事は許されない。二度と、同じ質問をする事はない。
「七海――そろそろだ。〝七人目(セブンス)〟が来るぞ――」
「はい……お兄様」
 電子辞書を取り出して、ポケットから一枚、光沢のある紙を取り出すと、その電子辞書の横に通す――
「〝パッション〟ランス――『論衣守(ロンギヌス)』」
 
                    θ
 
 授業は終わっているが、彼にはまだ授業が残っている。いや、授業と云うよりは、大学進級を前提にした補修なのであるが……それは一応、授業と言っても問題ではない。
 少年は眼鏡をあげて、規則どおりに着た制服の襟を正して、席につく。周りにはたった二人の女子生徒が居るのみで、他にこの補修に参加する人間は居ない。皆、部活、もしくは面倒くさいと二言目にはそう言い、家へと帰っていく。
 今年で受験生なのに……、少年はそう呟きながらもバッグの中から授業ノートを取り出す。一人そんな事を言ったところで現実は変わらない。それに勉学とは孤独の戦いだ、他人の事など考えているだけ無駄なのであるが。彼は、いささか優し過ぎる。
 進学する学校は、都会では有名な五大学の一つ――並大抵の努力では進学する事など叶わぬ。こうして、毎日の補修授業、そして家での勉学――様々な、あらゆる手を尽くして、ようやく手に届くところに、彼は行こうとしている。
 ある者はエリートだと言い、ある者は勉強が趣味と嘲笑う。だとしても、自分はその場所に立って、喜ばせなければならない。
 猶予はない、一分でも、一秒でも勉学に臨まなければならないと云うのに……
 バッグの中に入っているパーソナル・コンピュータを眺めると、なにやら振動をしているようである。まだ授業は始まらない、ゆっくりとPCに手を伸ばして、目の前の机に置くと、中を開く。
 電源も入れていないと云うのに、その黒いモニターに、白い文字で言葉が刻まれる。
『〝七人目(セブンス)〟が来たよ。……戦いが、始まるよ……』
 息を飲んで、少年、観浦(みうら)留海(るか)は補習教室から早足で立ち去った。階段をおりて、一階までくると、下駄箱で自分の靴に変えると、学校の敷地から出る。
「ゆ、百合ヱ? 居るんだろう?」
 人気のなくなった、夕暮れの公園は、学校の目の前に存在している。小さな公園だが、昼間になれば多くの子供たちで埋め尽くされる場面を、授業中、ふと横を見ると見える。本来、小さな子供がはびこるその公園の茂みから、一人の少女が姿を現した。
 少年と同い年ぐらいであろうか……? 身長は頭一つ分ほど小さいが、明らかに、幼少期のあどけなさを脱した大人に近い風貌へとなっている人物だ。
 留海の問いかけに小さく、はい、と答えた彼女は、茂みから完全にその姿を現し、手のひらを手前に出す。
 バッグからPCを取り出し、スロットに手に持った光沢のある紙を差し込むと、光がその場に溢れて、次の瞬間には、先ほどまで姿をあらわにしていた、百合ヱと呼ばれる少女は姿を消し、留海の手のひらには、一つの異形の(ライフル)が握られていた。
「〝パッション〟。ライフル『武龍啼(ブリューナク)』――」
 
                    φ
 
 汗が道場の床に滴る。この道場に滴った汗は、この数百年でどれほどか……考えてみると気が遠くなる。家柄の血を引く自分の事も考えると凄い家系に生を受けたものだ、と感心する。これが世の中の複雑な因果の糸と云うものだ。
 竹刀を一旦おろすと、道場の端に居る一人の少女からタオルを受け取る。ありがとう、と礼を一言述べて、体中の汗を拭くと、今度は腕時計を取り出す。
「美里、やるぞ……」
「――はい、(あに)さま」
 少女は目をつぶり、手を組む。その横で、兄と呼ばれた男、(らい)(めい)(かん)()は一枚の光沢のある紙を腕時計の脇に存在している細い隙間にそれを通すと、少女の姿は消え――代わりに二本の刀が取り残された。
 それに手を掛け、再び稽古を始める。
 二刀流――先ほどまで一本の竹刀で戦いを続けていた彼は、いくも簡単に、二本の長物を器用に操る。目の前に、本当に対象が居るかのように軽やかに、そして優美に、動き、斬――。これこそ、刀を使う人間の極み。二刀流のその姿は、宮本武蔵の再来を予感させる。
 十分、二十分と時間が経過してもその動きとキレは鈍らない。むしろ、その精度をまし、上達していく。動かしにくい動作、そして隙を学習して、すぐにでも修正していく。戦いにのみ特化した体と身体はまさに鬼神のごとく――腕は二本でも、戦いの神、阿修羅のごとく――
 三十分過ぎたところで、ようやく、彼は止まった。刀をおろして、腕時計を眺めると、時刻は十七時半。稽古終了まであと三十分あるが、文字盤に描かれているメッセージを見て、予定よりも早く稽古を終わらせる。
 文字盤には、小さく――
『〝七人目(セブンス)〟が姿を現しました』
 それだけ書かれているだけで、稽古を繰り上げるのに十分な理由だ。出かける必要性が出来、帰ってくる時間はいつ頃になるかは不明だが……この戦い、誰よりも、早く、〝七人目〟に出会う必要がある。
 家の巨大な門をくぐり、外に出ると、夕焼けが自らの姿を照らす。刀はそのままに、二本、手のひらに収められている。
「〝真名(パッション)〟――『執修羅(トリシューラ)』――出陣だな」
 
                    ❤
 
「キシシ……」
 本屋の一角、少女漫画の棚に、一人、不釣り合いな人間が立って雑誌の立ち読みをしていた。「花とゆめ」「マーガレット」――様々な用語が存在する少女漫画界は、ある意味、少年漫画の世界よりも深い。恋愛や夢に関しては少年漫画以上に突きつめた代物だ。
 本来、少女の声で溢れて、その場で漫画の中で起こるような恋愛に心を躍らせる――少女領域に、不釣り合いなのは言うまでもなく、まったく興味もなく、恋愛に対しての生きがいを見つける事の出来ない男どもである。
 本棚の一角に、その男が、一人存在しているだけで、奇怪な光景に早変わりだ。今その状況がこの駅前の本屋で起こっている。これで後ろに彼女の一人でも居れば、付き添いなどの話が通じるのだが、それもおらず完全な一人。たまたま本屋に寄り、新刊の少女漫画を買おうとした女子高生三人組は、棚の端からなぜか隠れて、その少年の様子を観察していた。
 最初こそ、気持ち悪い――いまどきの彼女たちの言葉で言えば「キモイ」の方が良いのであるが……――と思っていたのであるが、それも十五分を過ぎた頃合には、気持ち悪いより、「怖い」と云う思考へと切り替わっていた。実は危ない人間で、この本棚に侵入してくる少女は容赦なく襲うなどと、ありえない妄想をしてしまう。
 かすれた音を響かせて、雑誌を閉じると、その少年は三人の女子高生の方を向く。反射的に、ひ、と小さく悲鳴に似た声を上げる。
 ゆっくりと近づいてくる。その目が隠れるほどの長い前髪をなびかせて、ゆがんだ唇をそのままに、歩いてくる。まさに不審者の風貌なのだが、不思議と、そこまで醜い顔をしている訳ではない。柔らかく細い顔つきは、普通にしていればどれほど良かった事かわからない。
 最後に、手をあげて―――――自分の頭を掻いた後に三人の横を通り過ぎて、行ってしまった。
 ほぅ……安堵のため息を吐いた。
 一方の少年はいつの間にか手に持っている少女漫画をレジで精算し、外に出ると十六時を回っている事に気づく。学校が終わったのが十四時半と、今日は早かった為にこの場所へ訪れたが……
 ゆがんだ口を元に戻して、漫画を開くと、そこに漫画のキャラクターがストーリーとはまったく違った言葉を発している。それこそ、彼が知りたかった情報だった。
『〝七人目(セブンス)〟……来る……』
 ただ一言それだけで、少年は携帯電話を取り出して、とある場所へと電話を掛ける。
 待機音が数回なった後、音を立てて、彼女が出た。
『……ぁ、おにー……ちゃん?』
 か弱い、細い声が耳に響いた。
「行くぞ。〝七人目〟が来た」
『そ、そんなぁ……また、やるの……?』
「キシシ、お前の為だ、我慢しろ」
『う、うん……、で、今どこに居るの……?』
「駅前の本屋」
『わかった、今行くね』
 待っていられるか、と小さく毒づいて、本の間に光沢のある一枚の紙を挟むと、駅の横に存在している路地裏に閃光が走って、何かが落ちた。刹那に、そこに隠れていたのかどうかわからないが、数匹の猫が姿を現した。そこに彼女が居る事は解っている。
 間髪いれずに、次の紙を別のページに挟むと、その暗闇の向こう側から、なにやら得体のしれない、腕のような代物が姿を現した。
 キシシ、と笑う。
「〝パッション〟カード。『解異歩瑠具(ゲイ・ボルグ)』―
 
                    ★
 
 ボトルにキャップをつけて、尻ポケットに詰め込む。歩道にある白い境に腰を掛けていた少年は、缶コーヒーの抽選で当たったUCCと書かれた帽子をかぶりなおして歩き出す。
「あー、ちーちゃんじゃん! マジ久しぶりぃ! 最近渋谷に来てなかったけどどうしたのよぉ!」
 金髪の少女が手をあげて少年に手を振ると、声を掛けられた少年は微笑して手を振り返す。
「いや、野球部の試合でさぁ。疲れちゃって」
「へぇー、大変だねぇ」
「そりゃね。あ、一つもーらい!」
「あ! わたしのから揚げチキン!」
 へへ、と、子供のような笑みを浮かべて口の中に、コンビニエンスストアで購入したから揚げチキンを入れる。コンビニエンスストアとは思えないそのジューシーな肉汁と、衣は男女問わず人気になっている。
 手についた油を舌で拭っていると、紙ナプキンを渡されて、さんきゅ、と返す。手を拭きなおして、近くのゴミ箱に捨てる。最近はいたるところにゴミ箱が存在しているのであるが……道端のゴミは絶えない。そこにたどり着くまで面倒くさいと云う人間も存在している。
 いつまでもその場に留まっている訳にもいかない。多くの人間が通る場所で止まる事はマナー違反だ。
「じゃ、お詫びにクレープおごるよ。俺も食べたいし」
「やりぃ! そうじゃなくっちゃぁ! ねぇ、アミも呼んで良い?」
「いいよ。……と」
 そこで声を止めて、ポケットに入っている音楽プレイヤーに目をやると、モニターには音楽のタイトルではなく、メッセージのようなものが浮かんでいる。……〝七人目(セブンス)〟、一言てい
 笑っていた顔を真剣な表情に戻して、携帯電話を取る。
「わりー、今日用事が出来ちまった。明日埋め合わせするよ」
 えー、と不満そうな顔をする金髪少女は、駄々をこねる子供のように見えて、それはそれで助けてやりたかったが、今はこっちが重要だ。謝罪の言葉を述べて、その場を立ち去る。背中に構えていたスケボーに乗って、地面を蹴る。
 携帯電話の電話帳を開いて妹の電話番号にカーソルを合わせて、通話。
「もしもし」
 スリーコールで、妹は出てくれた。まったく、真面目と云うべきか……それとも、性格を考慮して真直ぐと言うべきか……
 竹を割ったような、真直ぐな性格をしている妹は、兄ながら尊敬に値する事柄だと、思っていた。
「なんだ、もうわかっていたのか」
『そりゃーね。もう向かってるけど……兄貴は?』
「これから山手線に乗る!」
『わかった。じゃ、一時間後に合流な』
「あいよ」
 スケボーを抱えて、駅にたどり着くと、改札に定期をあてて中に入る。――遭遇していたらどうするか――ふと、思念から一枚の光沢のある紙を取り出して、音楽プレイヤーにあるはずもない隙間に差し込む。
「〝パッション〟。『斗瀬天灯(トライデント)』…
 
 
          ×          ×          ×
 
 
 ――十九時ジャスト――
 終わりを告げる鐘が鳴った。ここに、戦いは終わりを告げたのだ。
 結果、一対七の圧倒的なまでの戦力差であったのにもかかわらず……全滅。
 彼はゆっくりと、崩壊した東京二十六区の中に降りた。渋谷の109の頂上に立って、指をあげて……
「勝者は――」
 
 


                   <to be continued......?>

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