深く息を吸い込んで。
結綺七夜です。
……昨日はどうにも……うぅん、まぁ良くある話なんですけど、今の環境にも不満は当然ある訳でありまして、それに対しての感情が爆発したみたいで……twitterではいろんな人に心配されて……正直、自分のツイートで誰かが心配してくれるとは思わず、本当にありがとうございます。そしてすみませんでした。
―――とまぁ、暗い話はこれまでにして、イラストは描いているのにスキャナーに掛けるのが面倒くさくて掲載できない訳ですが待ってくれ!
今日はバトスピ大好き声優の生放送があってやろうにもやれなかったんですよ!
夏休み中に一度やったバトスピ大好き声優の生放送。今回も面白かったですよ。
バトスピやっている身としては、やっぱりなぁ、もっとバトスピしたい!
ゲーム性は面白いのに、どうしてオレの回りにはバトスピをしている人間が少ないのか理解出来ませんがな。オレの回りは兎も角カードゲームをしている人が少な過ぎて……大会いこうにも電車に乗らないとですし、そもそもカードを買うのにお金を使っているのに、どうしてお金をまた掛けて戦う相手を探さなきゃいけないのか…………
それが葛藤なんですよ。もう本当に、どうしたものかを悩んでいるところです。ええ。
皆も―――
デュエルマスターズ
遊戯王
バトスピ
―――その他もろもろカードゲーム!
やろうぜ!!
……いや、面白いですけどね、うん。ただ、オレの回りでは受け入れられないだけですよええ。
さて、以下、ハスミさんのキャラクターであるエニシダ様のお母様の話小説!
今週も更新出来てよかった。
時間は、「拾伍の刻」を迎えようとしている。授業は大体、この時間帯になると終わりを告げる。
読んでいた本を、しおりを間に挟んで閉じ、腕を動かすと本が全て元の場所に飛んで行く。―――今朝方硝子を戻した原理と同じだ、妄想と再現による魔術で戻した。ちなみにまた同じ魔術を逆の原理で使えば、先ほどと全く同じ状態を再現出来る。
昼食として食べていたパンやらソーセージの食べカスも魔術で処理する。基本、自分で動くのは滅多にない。全ては魔術で事足りるからだ。
ゴミ箱にゴミを詰め込み、ようやく最後にチェックを終えてから図書室から出る。連れて来た猫は見当たらなかった為に放っておく。述べたように、どうせ戻って来る。
授業を終えたせいか、廊下に人はまばらだが存在しており、テレシアの出現に皆が会話を止め、彼女の行く末を眺める。
恐怖と奇異を見る目。まさに、変人だ。
―――そんな彼女が、学院の授業日程が全て終わった放課後に行く場所がある。性格上、すぐに家に帰ると思われているのだが、彼女は放課後のみに開かれるある場所へ向かう。
それは……ゼミと呼ばれる代物だ。
ゲーベル学院には生徒で構成された一つのグループ毎にゼミと呼ばれる研究室が存在している。
研究室は、講師が一人存在しており、その講師の元で研究を行うのである。研究テーマは、ゼミによってそれぞれ。本来は生徒一人ずつに研究所を与えるはずだったのだが、敷地の問題、資金の問題がありグループ毎のゼミへとなってしまった。
当然のようにテレシアは学院に居る生徒な以上ゼミに所属しており、放課後には自主的にゼミに行く。
人と関わるのが嫌いな彼女であるが、ゼミに設置されている設備は凄まじいほどだ。あれだけの物があればテレシアの実験も進む。
そう、彼女は普段魔術を使っているがやはり科学技術の推奨者。実験をしようにも、家かもしくはこうしたゼミでなければ出来ないので仕方ない。
ゼミの場所へ移動する際には多くの視線を買ったが問題ない。階段を飄々とした足取りで登り、四階、五階へ。大きな敷地を必要とするゼミは、四階以降全ての階層の部屋が一つずつのゼミとなっている。目指すテレシアのゼミは、七階に存在している。
乾いた音を立てて、階段を登り…………………………………たどり着いた。
長い前髪を掃い、一歩前に出てゼミの扉を開く。鈍い音、錆ついた音、それらが一度に響き一般人から聴けば嫌な音だろう。
嫌な音の向こう側に、白衣を着て、茶髪と云う珍しい髪色をした男が眼鏡をあげて立っていた。
「やァやァ、テレシア君。やっぱりキミが一番ノリだねェ」
もう一回、眼鏡をあげて、今度は観葉植物に囲まれたこのゼミに唯一存在している机の上に座る。脚を組んで微笑する。
―――このゼミの中は周りのゼミと違い異様だ。そもそも、ここに居る教師の―――エリセ・カローレェがテレシアと同じく少し特異な類の教師なのもある。教務室にも存在せず、自分担当の授業以外常にこのゼミで何かをしていると云う掴みどころのない教師。
中は観葉植物で溢れており、まるでジャングルを連想させる光景となっている。室内だと云うのに川のような水が流れており、一体どこに施設が存在しているのか―――最初はそう思っていたが実は、施設はその先の扉の向こう側にあり、ここは単なる彼の趣味だ。……生徒が使うゼミを私物化するとは……さすがの変人ぶりと言えよう。
互いに同じ、教師から生徒から変人と呼ばれる同士、何やら思考が噛み合うのだろう、二人の意思は疎通が可能だ。
エリセはまた眼鏡を上にあげて、机の上から降りると、ドリッパーから漏れているコーヒーをカップの中に入れて、浮遊魔術を用いてテレシアに届ける。礼を述べる事なくテレシアは口につける。
「さァて。そろそろ研究を始めますか?」
「それ以外無い。でなければ帰る」
「だァよね」
愉快そうに、くく、と声をあげて嗤う。ジャングルのようなこの部屋の奥にある小さな扉に手を当てると奥の空間へ繋がる扉が開く。
その奥は、今の部屋のように観葉植物に囲まれている場所ではなく、質素な白い空間に、似合わぬ金属の塊が多く存在している光景だ。
これら一つずつ科学技術の結晶。現代の科学の限界を引き出した代物。
動力には魔力を用い、魔術を展開して流す事で機械は作動する。これらは一種の演算装置であり、計算を行う装置に過ぎない。
しかし、これが無ければ他のプログラムを作り、同じものを作る他、様々な実験結果を統計出来ない事態にもなる。
今一番、多くの成果を挙げているゼミがこのテレシアの居るゼミと云う事はなかなかに周りのゼミにとっては屈辱的だろう。それも、この統計する機械―――周りの人間はこれをCPUと呼んでいる―――を多く、そして上手く使っているからだろう。
尚、このゼミ、居るのは当然テレシアだけではないのだが……何せ、ゼミは自由参加の為に、来る人間は少ない。
部屋に入って、それぞれの研究に取り掛かろうとしたところで、二人目と三人目のゼミの人間が入って来た。
「当然のように……居るんだよなぁ」
「ま、サボり人間だしな」
先ほどテレシアを授業に出そうと必死になっていた、シュタインと友人であるグレイであった。この二人もこのゼミに所属している。
エリセはすぐに腕を動かして、魔術を行使すると後ろからコーヒーを二つ取り出す。
「砂糖はどォする?」
嗤いながら問い掛けて、笑いながらシュタインが二つ、と言葉を投げる。
「さてと、じャあ今日はいつも通り、実験を勝手にして、勝手に何かして、勝手に帰ッてくれよォ」
…………何とも勝手な話だが、これが彼のやり方だ。エリセの教育方針は自立だ。周りの教師からは自立と云う域は越えており、既に放置の領域ではないかと反論はあるが、知らぬ事だ。
正直、テレシアはそれで助かっている。誰かの型にはめられてその通りに実験を繰り返すのは趣味ではない。自分の好きなように、好きな実験をする。
今、テレシアの実験テーマは、『果たして、人間とは脳と心臓、どちらが一番大切なのか』だ。
なるほど、とエリセは唸り、シュタインは呆れて言葉を失い、グレイは嗚咽の声をあげた。実験と言って既に何匹のネズミ、そして森に存在している魔物を解剖したかは知れない。いじるだけいじり、最後には燃やしてしまう。異臭騒ぎになった事も記憶に新しい。
当の本人であるテレシアは知らぬ顔をしながら、次なる獲物を求めて、嗤いながらゼミを一旦出た。今見たら、いつもは所狭し入っている実験台の数々が既に全て腐って使い物にならないと解ったからだ。
―――述べたように、このゲーベル学院の周囲は魔物の蔓延る森だ。故に、少しでも奥地に進めば魔物など多く存在している。実験台の宝庫……と、彼女は考えている。
勿論、魔物は入口の近くといえども危険な生物も多く蔓延っている。特に、半分死骸の『グール』や、巨大なものは人間を食す事もあるらしい植物『イーター』など、入口付近でも見る事は多い。魔術の天才と言われている彼女でも油断をすれば命は無い。
だが、今までそうして死の恐怖に陥った経験は無い。魔術は常に完璧に完成し、彼らを破壊しつくすからだ。……しかし問題なのは、そうすれば実験台としては使い物にならない点にある。
結果として、魔物の住処に飛び込んだとしても、手に入るのは小さなビーバーやネズミ、他にも魔物の一種である小さな『オクト』程度だ―――オクトは別名地上タコと呼ばれており、足を五本持った、赤い、タコに似た生命物体だ。
そんな生物ばかりが彼女の持っている飼育箱の中に所狭し並んでいるのだ。間違えてそれを手に取ったグレイ、もしくは悪戯目的で入った別のゼミの人間が絶叫した姿をテレシアは知らないがシュタインは見ていた。それはもうおぞましい姿であり、言葉では表現出来ない状況になっている。まさしく、「カオス」と云う言葉を送るのに相応しい。何せ、オクトや、ビーバー、他にも小型のイーターなどがひしめき合い、共食いなどを繰り返し、血は飛び散り、異臭がし…………考えるだけで、もう一度グレイは嗚咽の声をあげて、何かを掃うように手を振る。
そんな惨状になって貰っては叶わない、とばかりにもう一つ、嗚咽の声をあげる。が、止めろと言っても止めない事は解っているのだから無駄な努力と云うものだ。しかもゼミの主であるエリセは別段気にしている様子も無く、寧ろ容認している。実験に必要な代物を確保して来るのは問題には当らない―――とは彼の意見だ。
冗談ではないと言っても、もうゼミを変更するなど出来ず、そもそも変更自体、出来る訳がないものだ。
―――ゼミを出たテレシアは、嗚咽の声を繰り返し、単独反旗を翻しているグレイを一回も見ずに廊下を歩き始める。装備は必要無く、丸腰だ。魔術で事足りるとは先の通りだ。
「ちょっと! テレシア、一人じゃ危険だよ! 僕も行くよ!」
そんな物好きも居るのであるが……
剣を腰に構えて、走って来るシュタインを無視しながら先を急ぐ。勝手について来るのは勝手である。それで命を落としたとしても責任は取れないとは、初めてついて行くと言った時に忠告しておいた。
と、命を落とすなどと云う偏見はその日の内に消えた訳だが……
シュタインの剣の腕はまさに凄まじい。学院だけではなく、四学院対抗の体育祭で行われた剣の実技で、武術を学ぶカメリアの人間を降したほどの腕前だ。剣の達人―――と、までは言わないが、間違いなく通常の人間がたどり着ける領域を超えている事は確かだ。並みの人間がどれほど努力してここまでたどり着けるのか……興味はある。
何度も魔物の住む森での戦闘で解析を試みたのであるが、一度もそれを解明出来た試しは無い。
動きは全てスローモーションの如く。速度、勘、剣の扱い方、選び方全てが常人を遥かに凌ぐ戦闘能力は、普段の彼の性格では考えられない。
まぁ良い。いざと云う時には盾として役に立つだろう。その隙に、こちらは相手ごと魔術を放ち、実験台を手に入れるとする。楽して手に入るのであれば、シュタインがついて来る事に意味はあった。
相変わらず無視を続けたまま、先を急ぐ。そうと決まれば、急ぐに越した事はない。
to be continued......next week
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