今と呼んだ時にそれは過去になるから、結城七夜です。
夏服リンちゃん。
変わったのは、半袖なのと、このワンピースが少し薄くなってます。
――『ALICE PARADE』更新完了。
いや……今日更新した分が一番簡単に書く事が出来ました。話自体の事を云うとこんなふざけた事言っている雰囲気じゃないんですけどね、正直BGMを明るい歌にしないとやっていられないですよ。ハートフルが書けない結城七夜は、あの様な後に幸せを作るしか無いんですよ。
夏ですねー。
暑いですねー。
世間では三連休も今日で終わりですね、でも子供達は皆夏休みに突入するわけですね。因みに自分は十日後に実家に帰ります。十日後に最後のテストがあるんで、それが終わり次第直ぐに実家に帰るんです。そうすれば家にその日の内に辿り着いて、小説作業が捗りますしね。今以上に暇になるので……
でも午前中は恒例、夏のイラスト特訓(我流)が始まるのですよ。毎年夏を境目に自分の絵柄は変わるんですよね。
明日は遂に、裏blogに友人に頼まれた例の小説を書きます。
以下、オリジナルキャラクターの話。
ヒナさんとリンちゃんの別荘にとんでもないモノが侵入した様です。
夏――この季節になると二ノ宮リンは、藤咲家の車に揺られる事五時間半、藤咲家本家が存在する新潟県の山中に存在する別荘に赴く。木造建築の、巨大な家である。別荘と云うより屋敷と云う印象が近いが、藤咲家にとってこの建物はあくまで別荘なのである。
大半は、藤咲ヒナが妹である藤咲林檎と共に毎年避暑に二人だけで来るのであるが、今年は違い、六人である。今回は流石に六人と大人数な為に、四人二人で分ける事になった。
先ず、別荘本館の方には藤咲ヒナ、藤咲林檎、藤咲マリア、二ノ宮リンの四人である。そしてその別荘から少し下に降りた所に存在している一回り小さい別荘に、ランスロットと藤咲弘哉が泊まる事になる。これは、今回の主であるヒナの決定である。男性は男性で、女性は女性でと云う考えである。
「……この別荘に来るのも久しぶりですね」
別荘の扉を開ける前に、リンが荷物を持ち、薄での青いワンピースに麦わら帽子と云う格好で鍵を開けようとするヒナにそう言う。
「ですわね。去年は来ませんでしたし、一昨年に来たきりですわね」
そうして扉を開くと、当然その報いを受ける事になる。
……別荘の中は埃塗れであり、凄まじい有様であった。蜘蛛の巣も張られており、完全に、荒れ放題の屋敷であった。まさに幽霊屋敷と言っても過言ではない。
「その前に……掃除ですかね……」
リンの言葉に、ヒナがいいえ、と答え、林檎から携帯電話を渡してもらう。
「……藤咲です。ええ、今直ぐに来て下さい」
電話に二、三言そう言い、暫らくした一五分後、その車は現れた。――車には、大塚清掃と描かれていた。成る程、清掃業者と言う訳である。聞いた話、藤咲家には資金を出してもらっている業者であり、藤咲家行きつけの清掃業者だと言う。……事情を知らなかったリンとマリアは呆けた顔でその様子を見ていた。
清掃をしている間、紅茶を飲もうと云う林檎の提案の元、別荘の裏側に存在しているテーブルと椅子に腰を掛け、紅茶を淹れる。ガスコンロと水は、バーベキューをしたいと言った林檎がヒナに頼み新調したのである。
どうぞ、と言って紅茶を淹れたリンがヒナ、林檎とマリアの目の前に紅茶を出す。……優雅なひと時である。
――と、その時、下の方からランスロットと弘哉が現れた。
「……お前達、なんだその人間達は……」
「清掃業者よ」
ランスロットの問いにヒナは見て解るでしょう? と付け足しながらそう言った。確かに、それは見れば解ると言わんばかりにランスロットはああ、と言って肯いた。
「そうでは無い、何故我々は自分で掃除してお前達は業者なんだ……」
不満の言葉を漏らす。
「……だって、リンの綺麗な手を汚すわけには行かないでしょう?」
応えるヒナはリンの手を取って自分の頬に擦り付ける。リンは頬を朱に染めて、わ、わ、と声を上げる。
「それともランスロットさん、貴方はリンさんの頭が埃で塗れて良いと言うのですか?」
今度は林檎が頭からリンを抱き締めてそう言う。その剣幕にランスロットは徐々に押され始める。腕を組んで悩み始める姿を見て、弘哉はおいおい、と言ってランスロットの肩を叩いた。
「……そこをさぁ……なんとかしてくれると有り難いんだけどな……」
代わりとばかりに隣の弘哉が声を上げた。ランスロットにはもう頼っていられないと云う考えであろう。そう考えると、この弘哉と云う人物は他人を見限るのが早いのか、それとも人を見る力があるのか、それは良くは解らないが眼力はかなりあるのであろう。
暫らくリンを抱き締めたまま悩んでいたヒナであったが、仕方ない、と言って、業者にその旨を告げる。と、了解の言葉が返ってくる。
「仕方ありませんわね……」
「サンキュ」
笑顔を見せる弘哉を横目に、ランスロットは複雑な気持ちである。
その清掃作業が終わったのは一時間半後の話である。
早いと思うが、人数もかなり居り、更に一人で一箇所と云う凄まじい程の金遣いで、藤咲家の財力を見せ付けたのである。一時間半後には全ての工程が終了していたのである。
別荘の中はまるで新品同様に綺麗になっており、一同は安心してその場に荷物を置き、ソファーに座る。冷房の電源を入れ、テレビも点く。山の中とは思えない程である。この辺り一帯に電波が通ってくるとは思えないが……聞けば、近くに藤咲家所有の電波等があるらしい……
「さて……では、部屋を決めましょうか。無論、わたくしはリンの一緒の部屋です。ま、二人はあとは適当に決めなさい」
林檎が目を細めて意義を出し、マリアはあくまで笑顔のままである。
「どういう事ですか、お姉様? リンさんは私と一緒の部屋です」
リンの手を引っ張り、そう主張する。
「何を言うのですか、リンはわたくしと一緒に居た方が良いのです」
再び引っ張り返す。
「あの……二人一緒と云うのは駄目なんですか? 出来ればマリアさんも一緒に……」
ヒナと林檎。リンの提案は断れないのであるが、流石にその事を直ぐに了承、と云う訳には行かなかったのである。最後まで取り合って、好きあろうものなら、リンと共に一夜を過ごす……これこそがヒナと林檎の狙いである。
火花を散らす二人を余所に、別荘の扉がノックされる。
「はい」
リンが扉を開けると、半袖のアンダーシャツ一枚で、野球のグローブを持った弘哉が立っていた。
「あのさー……って、何この状況?」
「いえ、ヒナさんと林檎さんがもめているだけです。何時もこうですから」
笑顔で返すリンにふぅん、と返し、本題に入る。
「あのさ、暇ならオレとゲームしないか? 兄貴一人じゃどうも……」
尚、兄貴と云うのは弘哉がランスロットを呼ぶときの呼び名である。
「あ、はい、わたしでよければ……マリアさん行きましょう」
「えーと、お姉様方々は?」
「こうなると長いんです」
目を瞑ってリンは困った様に溜息を吐く。……苦労しているのだろうな、とマリアと弘哉は顔を見合わせてリンに対して同情した。
■■■
気付けば、夕方になっていた。ゲームをやめ、リンとマリアは夕食を作る為に別荘に戻り、それに続いてランスロットと弘哉も夕食を食べる為に二人に着いて行く。
別荘の扉を開けると、そこではまだ争いをしている二人の姿があった。息があがっている事から、相当時間争っていたのであろう。一体、何をして争っていたのかは不明であるが、考えるだけ無駄と云うものである。
「……あのー、ヒナさんと林檎さん、そろそろ夕食ですけど……」
リンの言葉に漸く反応して、二人は顔を逸らして、リンの方に体を向けた。
『解ったわ』
二人がそう同時に言って、リンを連れて二階へと歩いていく。
「え、え? 夕食ですよ?」
訳を知らないリンは二人を見てそう言う。
「ええ……ゆっくりと、じっくりと、貴女を味わう事にしますわ」
そう言った刹那に、ランスロットの拳がヒナと林檎に飛んだ。
「………きゅう」
「反省していろ、そして場所と時間を弁えろ、バカタレが」
倒れたヒナと林檎はソファーに置き、解放されたリンはエプロンを取り出して料理をする事にする。手伝いはマリアであり、ランスロットと弘哉はテレビを眺めて料理が完成するのを待つ事にする。
そして、それが起こった。
「にゃ、にゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
突然リンの叫び声が上がり、ヒナと林檎が光速の勢いでランスロットがヒナに施していたバインドを破壊した。
「こっ、拘束具が!」
驚きは刹那、とりあえずリンの悲鳴を確認する事にする。
「ごごごご、ゴキブリさんが出ましたぁ」
半泣きでリンがヒナに抱きつく。
そして、ヒナが地面に居るそれを眺めて……
「ねぇ……ゴキブリって熱湯に弱いんですわよね……百度ぐらいで宜しいでしょうか?」
「いえいえ、お姉様、礼装で一発で木っ端微塵にしましょうよ……」
「おいお前達……たかがゴキブリ一匹に」
ランスロットの静止に二人は血相を変えて。
「リンの敵はわたくしの敵ですわ。それに……わたくしも大が付くほどゴキブリが嫌いですわ!」
「そうです、だから礼装使うんです」
二人が礼装を構えた。
横から、弘哉がランスロットに逃げよう、と呟く。そしてリンを連れて、マリアも連れて行こうとすると……
「……気絶してるな。マリアはゴキブリが本当に嫌いだったな……そういえば」
そんなマリアをランスロットが背中に背負って別荘を出た。
「にゃあ、にゃあ」
……夜。そう、火曜日と金曜日はリンが猫化する日である。
そんな中、向こう側では炎に塗れた別荘がある。
「ジャンプファイヤーにしては派手だな」
「……キャンプファイヤーだ、兄貴」
「まぁそうとも言う」
そうして夜は更けていくのである。
続く(かないかもね)。
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