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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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VOC@(nd)roid 第二十八話 / デパートとアイスクリーム・?




序、破、急の次が思い浮かばなかったので、ヱヴァ的に「?」にしてみた。












 
 …………このところ、休暇もなく、次々と起こる未来関係の事件に関して、ため息を吐いていたのであるが、まだ終わらせるべき事件は多く存在している。警察とは、そう言った仕事だ。
 一つの事件を調査している途中に、また別の事件が起こり、自らたちの場所に役割が回ってくる。ようやく終わらせたと思ったところで、休む暇もなく保留されていた事件を調査し、さらに…………こうして、永遠に続く。時には別の捜査本部が立ちあがり、自分たちの出番がこない時もあるが、基本、調査協力と云う事もあり、休日返上で出勤する。
 黒田雄介も、そう言った組織の歯車の一部である。上の命令に従い、街の治安、組織のモラルを守る為に、日々、自分の偽りの正義を振りかざす。本当の正義は正直過ぎて、組織では通用しない。偽った正義こそが、警察と云う組織の中ではルールなのだ。
 現場歴数十年の彼が、長い事そう言ったルールを破ってこようと努力したが、結局、それが成し遂げられる事はなかった。牢獄のようなルール―――その中でも、何とか自分の正義を貫く為に、努力を惜しまない。
 ため息を吐きながら、ようやく、沖縄から戻ってくる事が出来た。夏の沖縄は暑くて敵わない―――二度と、夏には行かない事を決心した事件であった。
 所属する部屋に入ると、何人もの刑事が、お疲れさまです、と敬礼を返してくる。一人ずつに応えて、ようやく自分の席に座ると、まだ若い女性の―――名前を、北条育子と言う―――刑事が麦茶を差し出す。
 悪いね。一言述べて麦茶を口に含むと、バッグの中からペンやらを取り出し、今度は報告書だ。意外にも早い内に片付いた事件だった。書く内容は少ないが、あまり少な過ぎると上の人間から文句を言われて返されてしまう。前にも似たような事をしでかした為に、もう一度は流石に拙い。嫌な汗は、暑さによる汗だけで充分だ。
 履歴書のような各項目に様々な案件を書き、被害者、容疑者、逮捕に至った経緯―――などなど、様々な項目に状況を一つ残らず、情報も一つ残らず書き記していく作業は、気が遠くなる。だがこれが終わらなければ事件は終わったとは言えない。犯人を逮捕しても、それを日記のごとく、この書類に書き込んで、提出する事により、警察と云う組織の中で事件は終了し、次の案件へと移動する事になるのだ。
 置かれた麦茶に手を伸ばし、すする―――書いている途中に何度か立ちあがりトイレ、喫煙場、給湯室にある小さな冷蔵庫から麦茶を入れる、自分の席に戻り書類を作成する。
 これを何度か繰り返し、太陽の光が署の丁度真上を行く頃合に、書類の作成は終了した。
 欠伸を一つして、提出。そのまま次の事件へ……
「……暇がねぇええええ」
「仕方ありませんよ。こっちも色々とあるんですから」
 本当だな、と返す。この前より、この課に転属してきた若い刑事。名前を、横山と言う。祖父は警視庁のエリートコースの男だったらしい。父親は市役所で働いているとの説明を受けた。現在は、雄介自身と共に行動を共にして、仕事内容を知る―――いわば相棒の役割を担っている。
「食事をする暇もないなんてな」
「まぁそれは同感です。交番勤務の時は、もうちょっと暇もあったものですけどね」
「そりゃ、オマエ、こっちと比較しちゃいけねーだろー」
「それもそうですね。―――それより、本当に昼飯、どうします?」
 しかし、その日、雄介自身は食事代金を持ってすら居なかったのである。何せ、つい昼前に沖縄から帰ってきているのだ。飛行機代金だけで飛んでいる。そもそも、帰ってくる時間に問題があったと思われる。―――ちなみに、実際に沖縄に帰ってきたのは先日の話であり、そこからさらに本土まで行くのに時間が掛かり、さらに朝一番で出て、ようやく今日の午前中に帰ってくる事に成功したのである。疲労もピークだ。
 金もなく、体力も限界。まさに最悪の展開だ。そこに追い打ちを掛けるように、最近また窃盗殺人の話が転がり込んできた。犯人は割れていると云うのに、どうしてここで自分を投入しようなど云う暴挙に出たのか理解に苦しむ。
 犯人は、強盗をした後の途中に居た六十代の女性を故意に突き飛ばし―――死亡させた疑いがある。調査によると、彼は麻薬常習犯でもあり…………ここまで来ると外道以外の何モノでもない。一刻も早く逮捕をしなければならないと云う気持ちは頷けるが。
「……だからと言ってまともに動けないおっさんを起用するかね、普通」
「まぁ訊き込みだけですけどね。僕たちの仕事なんてそんなものですよ。あとは、一課に任せるだけですから」
「畜生」
 もっともな話だ。本来殺人事件は一課が行うべきものなのだから。
 ―――さてしかし、話は昼食の方に戻る事になる。資金もなく、おにぎり一つ手に入れる事の出来ない雄介は、一つの結論にたどり着く。
「よし! 観光くんの家に行こう!」
 相槌を打って、誇らしげに、これ以上の結論は存在していないと言わんばかりに、宣言した。当然、観光と云う人物を知らない横山は首をひねる事になる。
 迷惑な話だとはわかっているが、しかし、彼とは共通の秘密を持ち合わせている。考えれば安いものだ。彼は大学に居るだろうが、例の彼女が家で留守番をしているとは、随分前に聞いた話だ。まさか本当に引き取るとは思わなかった。
 携帯電話を取り出して時刻を確認すると、丁度、授業が終わって五分ほど。良いタイミングだった。電話帳機能を取り出して、中から遠藤観光の項目にカーソルを合わせる。
 
                   ■■■
 
 ―――おっしゃあ! デパート着いたァ!
「うぉぉぉ、涼しい~~~~~~~~~っ!」
 まさに天国だぁ! これで夕方ぐらいまでここに居られればベスト何だけど、そう云うワケにもいかないし。当初の目的を達成するとしますか。
 しかし、冷房なんて誰が考えたんでしょうねー、ほんと、文明の力よ!
「涼しい……」
 そう言えば、ミクちゃんもリンちゃんも、アンドロイドなのに暑さとか寒さを感じるわよね……
「はい。ロボットらしいロボット―――つまり、痛覚も感情もないロボットでは、人のお世話は出来ませんし、歌も歌えませんから。開発者さんは、私たちに考える事と、五感を搭載してくれたんです」
 ははぁ、なるほどね。確かに、痛みも何もないロボットに看病されても、あまり信用は出来ないし、感じも悪いのはわかる気がする。でもそうなると、本当に痛すぎると変な感じになっちゃうんじゃないの?
「ええまぁ……余程の事がない限り、機能が停止する事はないんですけど、データが飛んだりはしますね。だから常に、記憶のバックアップはしてあります。いざと云う時には、バックアップを持ってきて、記憶が消滅する直前の記憶を呼び覚まします」
「え、でもバックアップごと飛ぶんじゃないの? それ」
「いえ、私の場合、私のバックアップデーターを、未来のセキュリティで守ったままインターネットを放流しています。この過去の技術では絶対に開ける事の出来ない、5000エクサバイトに圧縮されています」
「えくさ……?」
「エクサバイトです。この世界の用語で言うのでしたら、Gの数万倍の容量を誇っています」
 み、ミクちゃん……恐ろしい子……っ! そんな容量を搭載しているとでも言うの……っ!?
「普通の人間さんの場合、実際は私たち以下の要領で動いています。電気もごく微弱なもので動いていますからね。私たちは、作られたアンドロイドです。機械は小さな電気じゃ動きませんから、コンピュータと同じで電気で動かなきゃいけません」
 でも、今ミクちゃんは全くアン●リカルケーブルも着けていないのに動いているわよね?
「はい。私は食事で必要なエネルギーを補う事が出来ますから」
「食事で? どんな原理?」
「それは私にもちょっと……何故か、その辺りの情報はインプットされていないんです」
 ははぁ、企業秘密かな? 素直なミクちゃんだから、ポンポン企業秘密を人に話さない為のロックが掛かってるのかも。
 ―――さて、そんな話はやめて! 今はアイスクリームよねぇ! でもやっぱりアイスクリームはシメよ、シメ! お買いものとか、全部やる事を終わらせてから食べようねーっ、リンちゃん。
「えーーー、私今すぐ食べたーい」
「……ダメ。買い物終わってから! 楽しみは後に取っておくものだよ、リンちゃん」
「―――む」
「リン、マスターを困らせるのはちょっと……ね、あとからにしようよ」
「レンは人見に甘いぃー。お姉ちゃんより、人見の方が大事ってのー?」
「えー……でも、どっちが年上かなんて、わかんないよ!」
 お、珍しくレンが積極的。お兄ちゃん意識あるのかな、そうだ、男の子はそれくらいが良いのよ! 観光くんと良い、レンと良い、最近は草食系男子が多過ぎますっ!
「わかったよーーーー、もぅ、皆して私の敵してェ!」
 ぷい、とするリンちゃんもカワイイ。がばっ!
「うにゃあ! ちょっと人見ぃ! 折角涼しいのに暑苦しいよ!」
 ……うわ、ちょっと傷ついた。
 
 ―――と、云うワケでまずはレンの用事を済ませる事にしましょう! 楽器屋は……三階らしいよ。
 エレベーターに乗って、一気に三階まで行く。
「こ、これが旧式のトランスポーターですか……」
「ふぅん、私の時代のヤツと比べたらやっぱりチャチだよねー」
 うるさいわね! これが私たちの現在では断然バリバリ現役よ! 最新技術よ! 古きに学びなさいよ! もぉ。
 楽器屋はやっぱり凄いなぁ……うぉ、高い。
「これが楽器ですか……」
「ん、未来じゃ存在してないの?」
「はい! 未来だと、オルトソードみたいに作り出す架空のモノですし、質感とか全くなくて……うわ、凄いなァ……」
 感動しているレンを横目に、リンちゃんもトライアングルをちんちん叩いている。ミクちゃんは……お、ピアノ?
「はい」
 目をつむって……ぽろん、と弾く指は優美。
 
 ―――――その音楽売り場に、それはそれは、素晴らしい一曲が流れた――――
 
 目をつむったまま、指先も視ないで、指を走らせる。正確に音を鳴らし、そして一つの歌を作り出しているんだけど……それが、私には何の曲かはわからない。未来の曲なのかもしれないし、単に私が知らないって事もあるんだけど……
 演奏が終わった時には、一帯に居たお客さんたちがたくさん集まってきていて、拍手を送っていた。
 
 


               </-to be continued-/>

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