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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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VOC@(nd)roid 第一話 / 落ちて来た少女




てな訳で、一度某様に捧げた小説を連載するので掲載させていただきます。


先ずは一話から再掲載。



ボカロ小説なのでヴォーカロイドに興味の無い人は見ないほうがいいです。







 
 
 オレの名前は遠藤観光。この女みたいな名前でオレがどれ程苦労したかは言うまでもない。
 だがまぁ、オレのこの妙な性格のお陰で、中学は妙な虐めにあう事もなく、高校生活も有意義に送ることも出来た。今年から入った大学でも、全く問題なく日常を過ごしている。一八歳も越えて毎日やっているギャルゲーの数も増えて来た様な気もするけど、正直、オレは一八禁には興味は無い。――嘘じゃないぞ!
 趣味は年上のメイドさん。将来の夢はなし。漠然とコンピュータプログラマーなんかを目指して、オレの少ない知識を振り絞って何とか入った私立大学で毎日を過ごしている。住居は家賃約四万円で結構揃ってる。
 そんなオレの日課は一七〇円程度で、電車でいける秋葉に行って新しいグッズの散策だ。留年しないギリギリのスケジュールで履修して、学校が終わったら速攻で秋葉。その後は家に戻って買ってきたコンビニ弁当を頬張るだけ。
 オレ的にはかなり充実した日々だ。昔の友人は少ないけど、今の友人なら結構居る。一人暮らしも初めてもう二ヶ月で、かなり馴れて来た。
 なんも特別な事もなく、平凡な毎日を有意義に過ごしている。
 
          ◆
 
 中学の時の友人が市役所に勤めている。高校を卒業した後に公務員試験を受けて合格した。希にそいつの家に行っては突拍子もない話と、夕食をご馳走してもらったりしている。
「お前、彼女出来たか?」
 ぶほっ! 突然だな。なんだ、お前は出来たのか?
「莫迦言え。俺は兎も角、お前なら出来ていると思ったんだけどな」
 どういう思考だ。
「出来たら言えよな。住民票ぐらいくれてやるから」
 何故結婚前提になっているんだ。オレはまだ独身で行くつもりだぞ? 綺麗なメイドさんにも出会っていなければ、空から少女が降ってくることすら体験した事は無い。スリリングな展開もなしに、オレは彼女作らない。
 そう言うと賢吾(友人の名前)はつまらないと言い、目の前のカレーに手を付ける。
「まぁお前なら大丈夫だろ? ギャルゲーの主人公みたく何人にもフラグ立てて置けよ」
 そんなに立てられるか。それにさっきも言ったけど、綺麗なメイドさんには出会っていないって言っただろう? 聞いていなかったのか? オレは年上メイドさんが好きなんだって。
「それは耳にタコが出来るくらい聞いたっての」
 ならば良いんだけどよ。……大体、オレに指摘する前にお前も探せよ、彼女ぐらい。オレと違って興味がない訳じゃないんだろ。やる気あれば一人ぐらい口説き落とせるんじゃないのか。
「いや無理。この前この近くの女学院生徒を口説いても駄目だった。……やっぱり女学院の生徒は可愛い子いっぱい居るけど、皆百合に走るんだろうな」
 んなとってつけたような理由なんていらないっての。それに多分それは特異な趣味の人だけだから。
 まぁそんな話題は捨てて、お前他に何かやることないわけ? 毎日忙しくて何もしてないのか?
「確かに忙しいと言や、忙しいだろうな。毎日苦情とか、やるべき資料と睨めっこだ。これ程面倒な仕事は無いと思うね」
 そうか。大変だな、お前も。まぁオレは有意義な学生生活を送っているわけだけどな。大学は良いぞー、しかもオレ一人暮らしだから掃除とかするの面倒だけど、後は楽しいよ。
 オレのそんな言葉にいいよなー、と愚痴を漏らす賢吾。ならなんで公務員になんざなった、と言いたいところだが、こいつの家にも色々都合があるんだろうな、と考えやめる事にした。人のそんな事を追及するほどオレはサディストでもなければ、最低の人間じゃないからな。
 さて、そろっとオレは帰る事にするか。カレーごっそさん。
「おう。こんなんで良ければ何時でも来いよ」
 あいよ、と返してオレは夜一〇時の外へと出る事になる。
 
 外は寒い。幾ら六月とは言え、夜になると陽が出ていない分、本当に寒い。息こそ白くはならないけどな。
 周りを見渡すと、所々で電灯が消える家が見えた。……良い子は就寝の時間か。オレが小さかった時は九時には寝なさいと言われてたけど、今は違うのかね。今は昔と違ってゲームも進化して、夜遅くなっても退屈する事がないからかな。
 そんな事考えていると、ふと、母親の事が頭を過ぎった。元気にしているかなー、偶には電話の一つでもしてやるか。
 そう思い電話を取り出した辺りで、異変に気付いた。……ん? 電波が届かない? おかしいな、この辺りは別に何もないんだけどな。電波が届かないなんて事は滅多に起きない東京だ、こんな事が起こるなんて不思議だな。電話会社がなんか起こしたかなー。
 そうじゃない可能性を考えて、取り敢えず電波が良さそうな、何もない場所に行く事にする。幸い近くに大きな公園があった。子供の為の公園なんだろうな、今のご時勢にこんな公園は珍しいな。
 ……むむむ? まだ駄目か? 携帯電話がイかれたかなー。でもさっきまで普通に機能してたしな、ⅰ‐chも視れた訳だし……やっぱり電話会社のトラブルか? マジで勘弁してくれ! 今一番電話する気なんだからさ! 多分この機会逃すと当分電話しないだろうし。――そう言えば母さん、電話しろって言ってたな。
 と言う訳でなんとかしてくれよ、電話会社。
 
 プツン。
 
 ――と、願いも通じず、今度は携帯電話の電源が落ちた。ヲィ! まだ充電もMAXだった筈だし、それに電源切れるの警告音もモニターも出なかったぞ! ……電話会社じゃなくて故障か? たんなる携帯電話の故障か?
 参ったな。もう今月の資金は食費と、けい●ん! のCDで消えるって決まっているのにな。本当に参った。
 おーい! オレの携帯一号! 起きろ! 故障すんな!
 ブンブン振ってみる。願い虚しく、起動する事もない。電源パックを外してもう一度装着してから電源を長押ししても起動する兆しは全くない。
 ……駄目か。仕方ない、明日大学休みだし(火曜日だけどな。履修の問題上)、朝一番でD●comoに行って修理に出すか。なんだかんだ言って、携帯電話ないと不便だし、amaz●nの新着チェック出来ないし、何はなくともメールが見れないのは困る。ハ●テのごとく! 携帯サイトからのメールがあるかもしれない。
 諦めて踵を返そうとした所で、突然携帯電話の電源が入った。うぉ! 前触れもなく、突然ライト転倒したモニターは、オレの心臓を飛び上がらせるのに十分だった。吃驚させて!
 幸い携帯のSDに投入されているオレ秘蔵のメイドさん画像は無事だった。ついでに電話番号やらメールアドレスやらも無事だった。電源が落ちている間の着信もメールもなかった。
 直ったのかね。まぁ良かったけど、念の為に明日修理に出してくるか――
 
「――ッ、でらべっぺんっ!?」
 
 ――。急速落下ァ! 何かがオレの上に落ちて来た! イテェ! 本当に痛い! 背骨が! 何が落ちてきたんだ!? こんな重いものが天上から何故落ちてくる! 一体何が――
「――」
 と、公園の街灯に照らされたそれは――女の子の形をしていた。
 ……OK冷静になろう。この子は一体どこのどの子だ? 顔は良く見えないけど、髪の長さとか色々込みで、この子は女の子だ。なんかいい匂いがするし。
 何とか女の子の下から出てきて、オレは女の子の顔を至近距離で眺めた。
 
「……………………初音、ミク?」
 
 そこにあった顔は、オタクの誰もがご存知、ヴォーカロイド、初音ミクでありましたとさ。
 いやー、それにしても精工に出来ているなぁ、フィギュアかね? そうか! fⅰgmaだな!? それとも何処かのフィギュア会社が作った1/1フィギュアに違いないな! うん!
 と、兎に角っ、このフィギュアを一旦端っこに……
 
 ぐにっ。
 
 と、胸の辺りが……
「うひゃ!」
 なんだ今の感触! 触ったことないけど……軟らかくて、本物みたいだ! それと、体、暖かかったぞ! それにくにゃんって……関節が曲がったぞ……。
 これ、本当にフィギュアか?
 拙いな。これならなんか幾ら夜と雖も妙な目で見られそうだ。一旦家に持って帰ったほうがいいんじゃないのだろうか……。此処で捨てていこうと云う考えを実行しない辺り、オレはやっぱり男なのかも知れない。うん。
 その大きいフィギュア(?)を抱えて、オレは家へと向かおうとする。――てか本当に重い!
 
          ◆
 
 さて、家に持って帰る途中、人に余り会わなかったのは幸いと言うべきか、運が良かったと考えるべきか……。兎に角、この初音ミクに似たフィギュアは今オレの部屋の真中で横になっている。
 色々と欲望とか、何やらが渦巻いているけど……そんな男にはなりたくないからオレは今只凝視しているだけ。それにしても本当に良く出来ているな……体温まで再現するなんて、最近の日本の技術はすげーな。
 ……なんか色々考えているけど、これって結構拙い状況なんじゃないんだろうか? 携帯電話もイかれたし(今は全く問題なく作動しているけど)、変な人形降って来たし。やっぱり欲望に負けて持ってくるんじゃなかった。
 ――ふぁ……もう眠いし、明日休みだし、携帯電話直しに行かなきゃ出し……明日起きてから、考えるか。
 布団を敷いて、オレは寝ようとする。
「……」
 と、そこで、邪まな考えがオレの頭の中を過ぎった。
 そう、あろう事か、オレはミクのフィギュア(?)を抱き締めながら寝てしまったのである。……本当に、オレって最低だな。
 
 


                         to be continued......

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