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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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何か意味の解らないレン君の話。


偶に連載とは違った単発の小説を書いて行きたいと思います。
ボーカロイド小説。










 
 
 /フォーマット
 

 ――the world is "Unlimited Program"――By "FATE OBLIVIOUS"
 
 
 ……残酷な話だ。
「……、ぁ」
 デジタルデータは直ぐにでも消去する事が出来る。本当に直ぐの話である、一分も掛からないであろう、それ程までに、その作業は早くする事が出来る。気に入らないその代物、そして白紙に戻したい事柄――それらを纏めて全て、デリートして初期化する事を、「フォーマット」と呼ぶ。
 ……切ない話だ。
「――レ、」
 名前が思い出せない。デリートされるのである。メモリに入っている出来事、事柄、全てが壊れて、なくなって行く。本人の意思は無く、介入する事も出来ない。その時には、他の声など、何も聞こえないのである。
 残酷なのはそう、忘れられる事。切ないのはそう、忘れてしまう事。全くの無に帰ってしまう事。それが一番怖い……
 多く存在する個体の中で、プログラムの中で、彼女だけは、片割れの自らを知っていた。産まれた時から他人を知っている彼女である、傷付く辛さは、誰よりも知っているつもりである。――だから、彼がフォーマットされた時、彼が自らを忘れても、自分だけはそれを忘れないでいようと、思っていてあげようと、プログラムの集合体ながらに、そう考えた。
 
          ◆
 
 ――フォーマットされるのは、自らの心だけ。目を開けた時には、何時もの事柄だけ覚えていた。何をすれば良いのか、起き上がった時に解る。
 歌えば良い。それだけ。あるデータはその為だけに存在しているのである。他に消失するものなど無い、欠落も無い、存在。
 そこに芽生えたイレギュラー。バグと言っても良いのであろう、それによって、プログラムは劇的に変化した。本来有り得ない事柄――進化し過ぎたデータ故に、起こってしまった事柄であろう。
「レン、起きろ」
 目を開けて、少年は体を起こした。――洗練された感覚だ、これ以上無いと云う程歌う事が出来る。只、プログラムに欠如が存在している事に気付く。
 何かが無い。もう一つ存在している存在がある筈なのである。それが無いと云う事に気付いた。
「――ねぇ、僕には……」
 電子音が響いて、その言葉は紡ぎだされた。だが、直ぐにその言葉を止めた。意味の無い事柄だと、何か、強制的に語り掛けられているかの様に、突然如何でも良い事へと変貌した。今まで見開いていた目を細めて、下を向いた。
 ――歌おう。
 失ったモノは、記憶から消せば、寂しくないよ? 何かで埋めれば生きていけるだろう?
 何せ、ヒトは一人で生きて行けなくとも――プログラムには自律能力が備えられているのだから――



何でもいいが、リン出てないけど、リンが可哀想な話だ。
次はもうちょっと出番ありで行こう。


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