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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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* A L I C E * ACT 12



戦いは次なるラウンドへ……

暴力が紡ぎだす必要悪。優しさが生み出す必要悪。

此処に、全てを暴力で手に入れようとするものとの戦いが始まる……


ハスミさんに捧げる『美少女翻弄学園伝奇SFファンタジー』小説、新章のACT12です。



 


 -9 days


 紅茶を入れる手を止める。もう時刻は三時半だ。
「ヒナさん、わたし授業があるんで、これで」
 わたしがそう言うと、ヒナさんはええ、と言ってくれた。
 それに笑顔で応えて、わたしは生徒会室を後にしようとする。
「ああ、リン」
 ヒナさんに止められた。
 くるりと体を回転させてヒナさんの方を向く。
「今日の授業後に買い物に行きたいの。付き合ってくれる?」
「え……あ、はい!」
 と云うわけで、本日のお楽しみはヒナさんとの買い物、と云うわけ。

 か、と、靴と床が当たる音がした。
「……」
 ……わたしの目の前には、山上さんが立っている。
 何時ものようだと、直ぐに顔を歪めて、わたしに皮肉の一つや二つとか、嫌なことを言われるんだけど……今日の山上さんは何か変で、眉間に皺を寄せては居るけど、わたしに罵倒を浴びさせるわけでもないし、この前みたいなことをしてくるわけでもなかった。只、わたしを呆然と眺めているだけ。
「……あんた、覚醒していないの? それともしているの? どっち?」
 そんな、意味の解らない言葉を投げ掛けてきた。
「は?」
 首を傾げる。
 と、山上さんは寄せていた眉間の皺を一層深くして、
「自覚が無いの? それとも……」
 わたしに近付いて、頭を掴んだ。
 ふ、と視界が暗転する。

「離せよ、ブス」
 面倒臭い。
 何でこんなときにも起きなきゃなんないの?
「――!」
 山上とか言うヤツは掴んだ頭を離して、一歩下がる。
 全く、こっちはいらねぇ借りを作って束縛中だってのによ、リンの周りにはやけに魔術師やら超能力者、そして『永遠の論舞曲』に参加している人間が多すぎる。
『二ノ宮リンを戦いに巻き込むな』――それが藤咲との契約だ。今のところ、この契約を守ることに着手することにしよう。……昨日、あの間抜な精神異常者……聖とか言ったか? アイツを潰したんだからな。暫らくの間、暇潰しにはなるでしょうね。
 私、二ノ宮凛は色が変わった金髪をさらりと掻き揚げ、山上と対峙する。
「……魔力の流れの変化? 人格変動? ……そう、アンタ、二重人格異常者って訳ね」
「だったら如何する? 今此処で私とやりあう?」
 冗談、と山上は手を上げて私の横を通り抜けていく。
「ちぇ、つまんねぇな。こちとら藤咲のヤロウの魔術で身体の自由がきかねぇってのに」
 藤咲、と言う言葉に反応したのか、山上が此方を向く。
「……そう、二ノ宮だけじゃなくて、アンタも藤咲先輩と顔見知りなんだ……調子に乗って」
「ああ?」

「あの人は……私だけのマリア様なの。
 誰にも邪魔はさせない――!」

 莫迦みたいなことをぬかして、山上は生徒会室に入っていった。
 け、仕方ねぇ、今はリンにチェンジするか……授業とやらは面倒だ――ぅ……

 気が付いたら、わたしは廊下に一人立っていた。ぼうっとしてたのかな……
 何時の間にか山上さんも居なくなっていて、生徒会室の扉をバックに、わたしはぼうっとしていた間に何も無かったかどうかをチェックする……うん、問題は何一つ無い。これなら授業にも行ける。
 わたしは何時の間にか落としていた教科書とノートを拾って、授業の教室へと急ぐ。今日の授業は宗教学と数学。宗教学は四階の特別教室、数学は三階の理系教室の一室で行なうことになっている。わたしみたいに生徒会に入っている人にとっては、あっちに行ったり、こっちに行ったりと大変……
 で、まぁ、わたしはもうなれたけど……人間慣れは肝心。
「あ、カヲリさん」
 廊下の先に、カヲリさんが居た。
「こんにちは」
 カヲリさんは笑顔で振り返った。……カヲリさんもカッコイイ人だなぁ、由香もそうだけど、わたしの周りには可愛いかったり、キレイだったり、カッコイイ人が多すぎる。嫉妬は……無い訳じゃないけど、わたしには眩しすぎる。
 わたしはカヲリさんの横に行き、
「授業ですか?」
 そう聞いた。
「ええ、午前と午後です」
「え! 両方出ているんですか!?」
 この聖マリア学院は午前も午後も両方出ることは一応出来るけど、皆午前だけとか、午後だけとかの人が多い。無論、わたしだってそうだ。生徒会書記の仕事が無い日も、片方だけ出ているけど……カヲリさん、両方出ているんだ。
「毎日ですか?」
「ええ、殆ど毎日ですけど……え? 何か?」
「いえ、凄いなぁって」
 そう言うと、カヲリさんはヒナさんみたいに笑って、
「まぁ、中学校時代の時とか、前の高校の時は不良でしたから。心を入れ替えるーと云う訳でして……」
 そんな事をさらりと言った。
 ……それって、エルダーの前で言ったら問題なんじゃ……色々と。
 そう云うと、ははは、と由香みたいに笑って、大丈夫よ、とヒナさんみたいに言った。
「次の授業は何ですか?」
「私、宗教学をこれからなんですが……リンさんは?」
「あ、わたしも宗教学です」
「なら、一緒に行こうか」
「は、はい!」
 くすくすと笑うカヲリさんに、何か、暖かいものを感じた。
 それは……わたしがヒナさんと居るときと……同じ感覚……


 ◇


 数学の教科書をとんとんと机に叩いて整える。
 時刻は三時半。門限まであと二時間ちょっとある。まだ大丈夫。
 わたしは教科書を持ったまま、生徒会室に行くために廊下を出、階段を上る。

 生徒会室の扉を開けると、ヒナさんと山上さんが居た。
「……あ、ヒナさん、授業終わりました」
 わたしが入ってくるのをみるなり、寄せていた眉間の皺を元に戻して、笑顔を見せた。……? 何かあったのかな?
「そう、では少し待ってくださる?
 ……と、言うわけよ耀子。わたくしは今日これからリンとお買い物に行く予定でして、それでは」
「あ、藤咲さん……!」
 呼び止める山上さんの横を通り抜けて、
「さ、行くわよ」
 わたしに笑顔を見せて、腕を掴んだ。
「え、でも……」
「いいのよ。今日は貴女に付き合うって約束しましたから」
 なすがままにヒナさんに引き摺られていく中、ふと、わたしが山上さんを見ると、

「……どうして……二ノ宮なんですか……私じゃなくて……」

 そんな事を、呟いていた。



 街に出る。
 つい数分前だったなら本当に楽しい時間だったと思う。けど、山上さんのあんな表情と言葉を聞いたら、楽しいものも、楽しく感じない。
 耐え切れなくなって、わたしはヒナさんに尋ねた。
「山上さんは……良かったんですか?」
 ふいを付かれたのか、ヒナさんらしくない目を大きく開いた、吃驚したような顔をした。……わたしの口から出たのがそんなに以外だったのかな……
 ヒナさんは下を向いて、
「リンは優しいわね」
「いえ。わたしは自分がどんな人間だったかは知りませんでしたから……出来うる限り、人には優しく、そして笑っていて欲しいんです。
 そうすれば、幾ら昔の『私』が悪い人でも、罪滅ぼしにはなります」
「……貴女は罪なんて、犯してないわよ」
 そう言って、ヒナさんは頭を撫でてくれる。
 あの、わたし子供じゃないんですけど……
 話戻しますけど、山上さんは何だったんですか?
「耀子はね、わたくしに理想を当てはめ過ぎなのよ。何でも出来る、何でも完璧……そんな姿をわたくしに当てはめているんでしょうね」
 いや、それはわたしが見てもそうなんですが……
「そう? そんな事は無いのよ? だって毎日予習復習をしておけば問題は無いのだから」
 いやだからそれがわたし達には難しいんですって……
 ああ、もう、ヒナさんに言っても無駄かー。
「どういう意味よそれは」
 む、とすねたような顔をするヒナさん。
「兎に角、次からは山上さんも一緒に行きましょうよ。絶対楽しいですよ」
 わたしが笑顔で言うと、ヒナさんも笑顔で、ええ、と言って頷いてくれた。


 Interlude......


 全てのことにいらいらしていた。
 それを忘れようと、それを押さえ込もうと、暴力に走った日々。
 中学生時代はそんな事で全てを費やした。故に、停学にもなったが、義務教育と云う事もあり、卒業は無事に出来たが、誰も彼女、山上耀子を祝ってくれる人間など居なかった。
 無論、祝ってくれることを期待していたわけではない。中学の時代に行なった行動が最悪の行為であることを自覚していない耀子ではなかったからである。たった唯一、祝ってくれる筈の両親もそんな彼女を無視し、全寮制である聖マリア学院にはんば強引に入学させたのである。
 聖マリア学院元教師であった山上耀子の母親は、自らの推薦分を加算させて、山上耀子を学院に入学させた。
 お嬢様学院と言う、耀子には肌の合わないモノに入学した耀子は、退屈をしのぐ程度にはなると考え、暴力沙汰は何も起こしてこなかった。
 どうせこの学院にも、自らを楽しませる、夢中にさせる、この心の穴を埋めてくれる様なモノは無いと考えていたのである。
 だが、そんな山上耀子が、一つ、目に止まった人物が居た。

 それが、藤咲ヒナであった。

「……キレイだ」
 何の邪心無く、そう思った。
 その後ろに、何か天より舞い降りた光が視えた……様に視えた。それほどの衝撃が耀子にはあった。
 彼女を一年追いかけた。彼女を一年見続けてきた。そして二年生に成ったとき、意を決して書記にも立候補した。
 しかし、彼女の予想は大きく裏切られ――

『それでは、今年度の書記の職には、二ノ宮リンさんを採用いたします』

 自らの手に届いたのは、藤咲ヒナが立候補した人間一人一人に当てたお詫びの言葉が入った手紙の封筒。その手に、自らが望んだ職は来なかった。
 ……二ノ宮リン。
 容姿はこの学院中探しても居ないほど平凡すぎる容姿。下の上辺りのランクになる。
 学年が別である耀子に、成績を知る機会は無かったが、立候補して成った風紀委員になり、三年生の居ない代わりに風紀委員長になった耀子は、希に頼まれる生徒会室の守り番の際に――無論、やってはならないことだが――二ノ宮リンの成績表を見た。得意教科、国語、苦手強化は体育。典型的な文系の人間である。
 しかも調査書を眺めた際に、二ノ宮リンが記憶喪失であり、中学三年の夏以前の記憶がないことを知り、更に彼女に関するやり場の無い怒りを感じる。
「こんな……」
 不釣合いな……
「人間に、藤咲先輩を……」
 取られるのか、と。
 それが我慢できなかった。
 だからこそ、山上耀子は、学院外で荒れた。
 未解決の暴力事件の幾つかが耀子の仕業と云う事を学院側は把握していない。だとすれば、毎日は無理でも、時々のペースを保てば全く問題は無い。
 ■行為も行なった。刺激を求めすぎた結果、それに辿り着いた。今でこそは抑えているものの、一ヶ月も抑えた場合は耐え切れなくなる場合もある依存症である。

「……あんな子に……あんなヤツに……!」

 そんな中である。

「そんなにも憎いか?」

 一人、路地裏で暴力に明け暮れている時、ナイフで斬りつけられた。
 切り裂かれる体、切り裂かれた服……傷だらけの肌が八割方露出している中、彼女に言葉を掛けたのは、白いエナメルジャケットを羽織った、少年だった。
「誰よ……!」
 誰でも良かった。
 容姿は中々良い。殴って押し倒せば事足りる。
 だがしかし、それは叶わなかった――いや、敵わなかった。
 耀子は気付けば少年にやられ返されていた。
 指一本、触れることも無く。少年が一言呟くだけで、彼は耀子に勝ったのである。
「――ぅぐッ!」
 肋骨の辺りが傷む。少年は何もしていない。只、みだらな格好をしている耀子を眺めているだけである。
「……何よ、ヤらないの? 度胸無いわね」
 ははは、と少年は笑った。
「生憎一途なんでね。他の女の子にオレは興味は無い」
 は! と耀子は笑う。
「アンタ、面白いな」
「よく言われる。
 ……それより、アンタは人を憎んでいるな?」
 何処の誰だか解らないが、初めて意思を疎通できる人間に会えたのだ、自然にああ、と言って頷いていた。
「憎いか? 殺したいほどに」
「……憎い」
 そうか……と少年は呟いた。
「『永遠の論舞曲』を知っているか?」
 耀子は眉を顰めた。
「そうか……知らないか。いいだろう教えてやる――」
 少年はエナメルジャケットを脱ぎ、耀子に掛ける。
 そして、話し始めた。
『永遠の論舞曲』の事、魔術の事、そして、自らの本質の事……
「信じられないかもしれないが事実だ」
 少年はアンダーシャツ一枚だけの状態で説明を終了させた。
「……まぁ、大概のことなら信じるよ。アンタの使う魔術とやらは信じられたよ。それに、『永遠の論舞曲』とか言うモノが本当なら……面白いじゃない」
「そうか……」
「ええ、アイツを殺せるなら……そして、願いが叶うのなら」

 私は何でもやる――そう耀子は言った。

「解った……キミが“今回”の一人目だ」

 耀子は目を閉じた。
 そして受け入れる前に……
「アンタ……何モンなの?」
 そう問うた。


「上川強気――『魔法使い』なんぞをやっている」
 そう、皮肉の様に呟いた……


 Interlude END


 ぐしゃり。
「飛び降り自殺ですか?」
 目の前で人が飛び降りた。……うわ、可愛い人……
 わたしの言葉にヒナさんは
「……そうね」
 悲しいものを見る様な顔で答えた。
 まるでその人を知っているかの様に……

 わたしが知らないところで、何かがある。
 そう思ったのは……何時からだろう?

「――もっと、生きれば良かったのに……“ワタシ”みたいに……」

 最後、誰の言葉か解らないけど、そうわたしは呟いた。


          * A L I C E *


歪んだ世界は終わりを告げ、破滅の世界が鼓動を開始する。
少女と少女の交錯。再び牙をむく『騎士』。そして、発動する魔術……
次でまた会いましょう……

新しい章は幕を開けました。
精神異常者との戦いは完全に幕を下ろし、暴力を司る少女との戦いが幕を開きます。
……それは、聖処女と、汚れし少女の戦い。
『美少女翻弄学園伝奇SFファンタジー』小説は……止められない。
感想お待ちしております。
以下、バックステージです。
聖凪(以下、凪):「凪の――」

「なぜなにALICE、アリス通信!!!」

凪:「僕達の行方! 聖凪です
   えー、本日は一人ですので、ちょっとした裏話をすることを任されています……」
 作者からのカンペ。
凪:「え! お色気しーん……ですか?
  わ、解りました――!!! それでは見てくださ……!!!」
 無論、小説なので見えるはずも無く。
凪:「……遊ばれました!? 私、もてあそばれました!?」
 まぁ、そういうキャラになってしまったので……
凪:「うう、ひどいです……もうお嫁にいけません!!!! どうなってるんですかー!! すたっふー!!」
ガヴェイン:「凪、泣かないでください。私が作者を厳重に調教しておきますので」
凪:「ぐす、本当?」
ガヴェイン:「ええ。約束します」
凪:「うん、なら我慢する」
ガヴェイン:「凪」
凪;「ガヴェイン……」


遠野由香:「……これ、何てエロゲ?」


          to be continued......?

 

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