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絶望への共鳴 // ERROR

深層心理へのアクセス。結城七夜の日々。徒然日記。 裏; http:// lylyrosen. xxxxxxxx. jp/ frame/ water. html

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日記話派生小説:デートのお約束は計画的に



オリジナル小説『* A L I C E *』派生小説。

話は、十一日に遡る。

ハスミさんの日記を見て――

ヒナ様:「デートをすっぽかされる気持ちが貴女にわかるわけありませんわ!!」
林檎嬢:「……そうですね、確かにわかりません。だって私とのデートにはちゃんと来てくださいましたもの、リンさん」

を見て突発的に思い浮かんだ、構想三秒の即席小説。

追記にて。



 やつれた顔をして聖マリア女学院、現生徒会長、藤咲ヒナが部屋へと戻って来た。疲れ果てているのか、若しくは落胆しているのか、藤咲ヒナはそのまま、妹の居る目の前でベッドに横になった。――時刻は漸く、一七時を回ろうとしている。
 藤咲ヒナの妹である藤咲林檎は、読んでいたファッション雑誌を閉じ、今挨拶もせずにそのままベッドに潜った自らが姉を見つめる。
「……帰ってきたら手洗いうがい――しろと言ったのはお姉様じゃありませんか」
 ベッドに横たわった事より、自らに言って自分で実行しない目の前の姉を咎める。この辺り、負けず嫌いな辺りは流石は姉妹と言った所か。ヒナは起き上がってそのままの顔で部屋の端に設置されている蛇口を捻り、出てきた水で手を濡らした後、手洗い専用のソープを容器より取り出し、入念に手を洗う。――後、強酸化水と呼ばれる酸性の強い水でうがいをし、最後にハンドクリームを塗り、再びベッドへと直行した。
 ……呆れた。林檎はふぅ、と溜息を吐き布団まで被ってしまった自らの姉を眺める。
 ヒナは反応がない。そのまま寝てしまったのかと一瞬思ったが、寝息を立てている訳でも無く、溜息の漏れる声だけは聞こえてきているので寝ては居ないのであろう。
 冷め切った紅茶を一口飲み、ヒナの上に掛かっている毛布を取る。
「……何をやっているのですか? お姉様」
 そこにはうつ伏せで倒れているヒナの姿があった。学校での優美な姿は何処吹く風である。そして此処まで至上主義である藤咲ヒナを堕落させるのに必要なピースは一つしか無い。
「リンさんと何かあったんですか?」
 ヒナの肩が跳ねた。図星らしい。
「……察するに、色々と意見の食い違いですか? それとも、もの凄い簡単でくだらないことで?」
 林檎が問い詰める。
 ヒナは無言であった、が、直に口を開いた。嘘はつけないのか、それとも愚痴をこぼしたいのか……定かでは無いが。

「……リンがデートに来なかったのです」

 その台詞を聞いて三度目の溜息を吐いた。
「……デートと云うより、遊びに行く? ではないのですか?」
 林檎の言葉を聞いてヒナが睨みつける。――どうやら逆鱗に触れたようだ。
 そもそも、同性同士の遊びに行くことをデートとは言わない。デートとは、恋人同士が遊びに行くこと等、必然的に男女と云う性別の壁があってこそ成り立つのである。
 が、例外が一つ存在した。
 ――同性愛である。同性を好きになる、恋愛対象としてみる人物はどの世の中にも数人は存在する。否定する訳ではないが、それは人の理より反していることである。が、世界の理に反しているからこそ、このデートと云う言葉はこの異性同士と云うものに効力を発揮しない。
 故に、目の前に居る少女、藤咲ヒナは同性愛の少女である。自らが愛した少女、二ノ宮リンが逢引の場に来なかったと云う訳である。
「全く、リンさんにも事情があったのですから、本日のところは諦めなさい。お姉様」
 立ち上がって紅茶のカップを流し台に置く。
「……デートをすっぽかされた気持ちが貴女に解るわけありませんわ!」
 少々ヒステリックにヒナが珍しく叫んだ。
 ――此処に居るのが何時も藤咲ヒナと行動を共にしている後輩の少女達なら確実にその気迫に押されていたであろう。だが目の前に居る少女は紛れもない、藤咲ヒナの妹なのである。この様なときには、姉よりも一枚上手である。
「ええ、解りませんわ。
 だって私、リンさんにデートを断られたり、すっぽかされたりされた事、ありませんもの」
 笑顔で言った。

 ……暫しの静寂が流れた。

 張り詰めている空気――極限まで伸びきった糸、はたまたゴムが千切れる様な感覚――聖マリア女学院、現三年生用の生徒寮の一室、藤咲ヒナの部屋は異様な奔流に包まれた。比喩するのであれば、それはまるで雷撃の様な感覚。
 ヒナの髪が逆立った。――魔力と云う、藤咲ヒナの体内を流れる常人には無い不確定要素が奔流を始めたのである。
「……もう一度言って見なさい……」
 逆巻く魔力。爆弾の導火線に火を点けようと、ライターを近づけている様な――
「リンさんは、“私”の時のデートを断りもしなければ、すっぽかしもしません」
 火が点いた。

     ■■■

「……」
「……」
 藤咲ヒナと藤咲林檎は、爆発した部屋を眺めていた。
 幸い、人避けの結界を瞬時に張った為に被害は最小限で抑えられた。藤咲ヒナの部屋の中以外は守られたのである。その点は流石と言える。
 しかし、今のような強大な魔力の奔流である。この学園内に居る魔法仕いが気付かぬ道理はなかった。
「どういう惨状ですか?」
 部屋を眺めた少女、雨宮カレンが問う。
「……ボロボロ」
 それに少女、那古望が部屋の状況を付け足す。
「何やってんだか」
 瓦礫を蹴っ飛ばし、遠野由香が藤咲ヒナと藤咲林檎を交互に眺める。
 お互い言えなかった。――二ノ宮リンを巡って魔法を使って本気で殺し合いをしていた等とは言えなかった。
「大方、リンに関して何かしたんでしょうけどね」
 が、その心配は無用であった。完全にばれていたのである。
 図星か、と由香が目を細めて二人を見る。
「……あの、わたしが何か?」
 由香の後ろで会話と、部屋の惨状を眺めていた論争の当の本人である二ノ宮リンが姿を現した。
 むぅ、と二人は唸る。余り見られたくは無い惨状である。リンには――好意を持っている相手には格好良い所のみをみせ、格好悪い部分は見せたくないものである。まるで拗ねた子供の様にヒナと林檎は互いを見合う事無く、部屋の片付けを行なう。
 それを無言で眺めているリン、由香、カレン、望。
「……ねぇ、リン。アンタが原因みたいなんだけど……何か知らない?」
 由香が耐え切れなくなり、リンに聞く。
「えーと……諸都合により、ヒナさんとのお出掛けを……お断りしましたけど」
 あー、と三人は納得した。原因はそれであろう。
 大方、リンがデートに来たか来ないかで言い合いになった後に、本気で殺しあうレベルにまで上がったのであろう。傍迷惑な姉妹喧嘩である。
「それが原因だね。リン、理由も言わずに断ったでしょう?」
「え……うん」
 それか、と言わんばかりである。まさに死体に剣を振るう様なものである。只でさえ、リンに関しては人一倍気に掛けるヒナである。理由もなく断られたからには、発狂しかねない勢いであろう。――いや、流石にそこまでは行かないか……そう考えた由香は甘いのであろうが、兎にも角にも、起こってしまった惨事は、それが理由によるものであろう。
「ほら、今なら間に合うわよ。理由言っておけば、ヒナさん立ち直るってさ」
 由香のでっち上げ。
 が、この冗談がリンには通用するのである。リンはそのままヒナの元へと歩を進める。
「あ、の」
 ヒナは虚ろな目でリンを見つめた。……完全に気力を失っている。
「ごめんなさい! どうしてもやりたいことがあって……」
「……やりたいこと?」
 その言葉には林檎が首を捻った。
「あの……その……これです」
 リンの差し出したものを眺める。

「……プリクラ?」

 林檎が顎をさする。
「……なんですの、その写真を縮小したようなモノは……」
 ヒナがプリクラと呼ばれるものを眺めながら問う。
「プリクラです、お姉様。似たようなものです。撮った写真を好きにデコレーションして、それをこの様に小さなシールにするんです」
 乾いた音を立ててシールを剥がす。
「わたし、これやったことなくて……この前もやろうやろうと思っていたんですけど……結局、三時間立ちっ放しで見ているだけでしたので……」
「……」
 三時間。それは長い。
 だが、理由を話したことにより、ヒナは漸く安堵したのか、リンを抱き締める。
「ごめんなさいね。わたくし……リンがわたくしを嫌いになったのかと……」
「そんなことありません! ありえません!」
 リンがヒナの言葉を否定する。
「それより、林檎とのデートを断ったこともすっぽかしたこともないとは……?」
 本題を問うてみる事にした。
「え……あぁ、わたし、林檎さんに着いて行ったらヒナさんに会えると言われたんですけど……」
 視線が林檎に集中した。

「……そういう姑息な手段を取るのですか? 林檎?」

「えーあー……いえ、その」
 言葉に詰まる。
「で、では……」
「待ちなさい」

     ■■■

 結局、反省会と銘打たれ、ヒナと林檎は共にリンと布団に潜っていた。
「……流石に三人は狭いですわね」
「でもあったかいです…………すぅ」
「リンさん、寝るの早いですね」
「うにゃー」
 横に転がる。リンは林檎に抱きつく。
「ちょ、林檎! 離れなさい!」
「嫌ですわ。こればっかりは譲れません」
 リンを優しく抱く。腕を背中に回し、もう片方の手は後頭部に回す。丁度、リンの顔が林檎の胸の辺りに来る。
 すると、その林檎の手を払い、ヒナがリンを抱き締める。林檎とは違う、少し力を込めている。
「む……お姉様、リンさんが苦しいと思います」
「あら嫉妬? 女の嫉妬は見苦しいわよ?」
 ……睨む。
 だが、その間で眠るリンを見ると、二人は目を合わせて微笑し。
「今日だけは――」
「――やめましょうか」

 二人でリンを抱き締めて眠りに就いた……



 


なんじゃこりゃ。
派生小説でした。


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