ルイズ 『ゼロの使い魔』より
絶対自由です。
今日はなんか調子がいいです。
勿論、体調であって、イラストと小説は駄目です。
早く直りませんかね。
さて、本日は特に書くことが無いのです。
特別悪いことも良い事も無かったので。
兎にも角にも、明日も元気に、キバって行きたいと思います。
それでは、と言いたいところですが、不定期更新ACT2、
ハスミ林檎 様に捧げるこのBLOG小説。
それでは、どうぞ……
歯車が何処かでガチリ、と音をたてて噛みあった――。
-14 days
朝。
先日の楽しい時間からは打って変わって、わたしの日常は忙しさを取り戻す。……ホント、やんなっちゃう。
わたしは健全なクリスチャンじゃないから朝の礼拝堂での儀式には参加しない。その分長く睡眠を取ることが出来るけど、わたしの体はまだ寝かせて、と言わんばかりに眠りのセカイへとわたしを導く。
階段をのぼり、五階に来た時点で角を曲がる。――まぁ、この学校は五階までしか無いけど……。
一つ、手入れが行き届いていない大きな扉がわたしの目の前に現れる。何時見ても大きい。
その扉のところには、『生徒会室』と書いてある。
そう、この扉の向こう側には、五回の半分も使用した巨大な生徒会室が広がっている。この聖マリア女学院は、どこか別の国のように広大な敷地を持っていて、『聖壁』と呼ばれる壁に守られた内側に校舎がある。校舎は毎日清掃の業者さんが来て、入念に掃除をしているために比較的清潔。白色が主体で、所々にクリーム色の校舎は、具合が悪い人間にはクラクラするような色使い。全五階建て校舎で、其々――
IF 礼拝堂。
2F 文系教室
3F 理系教室
4F 教務室、特別教室全般
5F 生徒会室、機械室、会議室
となっている。
機械室は、この巨大な校舎の一番上に立つ時計塔の設備と、毎日時間になると、エルダーたちが鳴らす鐘の管理をしている部屋になる。
寮は校舎と連結していて、全三階建て寮が三つある。
他にも、敷地の端に、不気味な洞穴があるけど、それは途中で行き止まりになっているらしい。
まあ、こんな感じ。
わたしは生徒会室の扉をノックすると、返事を待たずに扉をあけた。
「あら、ごきげんよう」
「ごきげんよう。生徒会長さん」
そうわたしが言うと、ヒナさんは少し、もぉ、と云ったような顔を作ると、
「ヒナで良いと言ったでしょう? リン」
「あ、はい、ヒナさん」
よろしくてよ、と言って、ヒナさんはわたしに書類を渡す。
「早速だけど、本日中にその報告書を纏めてくれるかしら? マリア祭の件とか、外界で起きてる殺人事件とかで教育委員会から注意するようにのお達しが来ているの。その書類が半分。
残り半分は、来期の生徒会選挙の書類よ」
来年度生徒会選挙……か。
ヒナさんは来年の一月で卒業する三年生で、わたしは二年生。勿論、それは今年の四月からの話。今は二月。まだ寒さが身にしみる季節。だからまだわたし達は、一年生と二年生。
わたしは書類をトントン、と整えると、生徒会室の横にある、書記専用のテーブルに置くと、椅子を引いて、腰を下ろした。
先ず目を通したのは――不思議と、外界で起こっている殺人事件のほうに目が行った。
『――1998年 2月 提出書類
現在東京都を中心に起こっている女子高生連続殺人事件について。
この影響により、全学校の下校時間を早めることを推奨する。50分授業から45分授業への短縮、又は、午前限りの授業を推奨する。
尚、後者を使用した場合、後に授業時間の延長を求める』
簡単な書類。
生徒会長の意見を待つ必要があるけど、書記であるわたしの意見を書いておいて提出すれば問題は全く無い。
わたしは下校時刻を早めることを推奨すると、一つ、BOXの中に書類を入れる。
暫らく書類作業を続けると、昼を告げる鐘が鳴る。
「ヒナさん、わたし午後から授業がありますので」
「わかりました。それでは現時点で書き終わった書類を置いて行ってくださいね」
「はい」
書類を置くと、わたしは生徒会室を後にする。
と、其処には、風紀委員長の、山上さんが居た。
「ふぅん、藤咲先輩のお気に入りと出くわすなんて、今日は鬼門かしら」
「……」
わたしは顔を顰めて、その横を通り過ぎようとする。
「いい気になるんじゃないわよ。アンタみたいな平凡な子、あの人の横に立つ人材じゃないんだから」
わたしの背中に山上さんはそう投げ掛けて、生徒会室に入って行った。
……仕方がないことだけど――やっぱりムカついちゃう。
それでも、わたしは我慢する。ここで激怒しちゃったら、問題になる。
階段を下りて、わたしは数学の授業教室へと急ぐ。
にわかに、また手のひらが痛んだ。
Interlude......
――其処はとある廃墟の建物。
鼻腔を衝くような、芳香の香り……そして部屋一面を覆う靄のような白い煙。間違いなく、喫煙の証である。これだけの煙をだすと云う事は、俗に言うヘビースモーカーと言う類を超越している。
が、その芳香の香りに紛れて、生臭い臭いが充満している。
その鉄が混ざり合ったような臭い……そして何より真紅の色をしたそれは、間違いなくヒトの血液であった。
煙草を吸う張本人の目の前には、まるでスプリンクラーの様に異物をさらけ出す死体があった。――語るまでも無く、もう息は無い。
その煙草を咥えるモノは、一体何時間この場で佇んでいただろうか? それすら検討が付かない。それだけこの場に長く留まっていたのだ。その、少女だったモノを眺めながら……。
「――コイツも違うのか……」
その声。二〇代前半を思わせるその低みが混ざった声は、間違おうことも無く、少女のものだった。
赤髪に長髪。腰に掛けた鞘に収まっていた筈の剣は手に握られている。口に咥えた『ゴールデンバット』の煙草は既に短くなっている。
少女は口から煙草を棄てると、廃墟を後にした。
その少女の二の腕辺りには……痣の様なものがあった。
Interlude END
授業を終える頃には、空は暗くなっていた。
わたしは遣り残した書類を終らせようと、生徒会室に急いだ。
時計塔は五時半を過ぎている。
ふと、上を見ると……
「あれ?」
何か……青い何かを着た人影があったような錯覚を見た。
目を擦ると、その人影は消えていた。見間違いにしてははっきりとしたものを見たような気がする。わたしも疲れているのかな? うん、たまには早く寝よう。
生徒会室に入ると、其処にはヒナさんの姿は無く、代わりに、生活委員長の斉藤カヲリさんの姿があった。
「こんばんわ。書記の仕事の残り?」
その男の子みたいな容姿のカヲリさんは、去年わたしのクラスに転校してきた人で、前に居た学校では彼氏が居たと言う噂がある。……聞いた話だと本当らしい。
「はい、カヲリさんは?」
「私はちょっとね……生徒会室に様があったんだけど――もう済んだから帰るね。それじゃあね」
横を通り過ぎていった。
ふと、カヲリさんの額に、痣があったような気がした。
書類を抱えて、わたしは寮の部屋に戻った。
時刻は六時半。食事まであと三〇分ある。この三〇分で二枚ほど終らせておこう。
「……」
書類を書くペンを走らせる。
また……手の平が痛んだ――。
まだ始まらない。
しかし、それは遠くない運命。
歯車はかみ合った。ならあとは駆動するだけ……。
『アヴェンジャー』達の戦いは、直其処の未来。
アリスたちはまだ気付かない――。
二ノ宮リンの体の一部が、にわかに熱くなった。
*A L I C E*
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